お金のデザインは2月16日、個人向け資産運用サービス「THEO(テオ)」の提供を開始した。THEOは、独自で開発したアルゴリズムに基づく独自のロボアドバイザーがポートフォリオを提案する。
同社はFintechベンチャーで、米国で急成長を続けている、現代の投資理論に基づいて構築されたアルゴリズムに金融商品の運用を一任する「ロボアドバイザー」のシステムを「テクノロジーによる金融の民主化」と位置づけ、ユーザー目線にこだわった「始めやすく、分かりやすい」資産運用をサポートする。
特徴は「始めやすさ」と「わかりやすさ」
「THEO」の運用を開始する前に、ユーザーは自分の目的に合ったポートフォリオの自動設計サービスを無償で利用できる。具体的には、9つの質問に答えると、約6000のETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)の中から、2分で最適なプランが提案される。
ポートフォリオは、成長重視、株式運用中心の「グロース ポートフォリオ」、安定した収入を確保、債権中心の「インカム ポートフォリオ」、インフレヘッジ重視、不動産やコモディティを中心とする「インフレヘッジ ポートフォリオ」の3種類をニーズに合った最適な構成でデザインされる。ポートフォリオや投資先は微調整も可能で、よりリスクの低い先進国中心の運用や、よりリターンを期待できる新興国中心の運用に変更することもできる。
ポートフォリオを設定した後、証券口座開設と投資一任契約の申し込みを行い、申し込みから最短2営業日で口座開設が完了、開設した口座に入金すると、最短3営業後に運用状況をオンラインで確認できる。運用はロボアドバイザーに一任する形となる。
同社COOの北澤直氏は、ETFは一般の投資信託に比べてコストが安く、流動性と透明性が高いと説明する。世界で上場されるETF銘柄は増加を続けており、500程度であった2005年時点から、現在では6000種類に達しているとのこと。銘柄の増加に伴い、世界中のあらゆる資産が投資対象になっていると語った。
また、アメリカにおけるマネージドアカウント(一任運用)の総額は2003年の開始から激増しており、現在では4兆ドルに達しているそうだ。さらに、ロボアドバイザーによるオンラインでの資産運用の総額は、年平均成長率+68%で伸び、2020年には2.2兆ドルに達するというA.T.Keameyの予測を引用し、ロボアドバイザーによるオンラインでの資産運用が広がる可能性を示した。
少額運用に対応、手数料は年率1%のみ
「THEO」は、10万円から運用が可能で、手数料は一任運用報酬としての預かり金額の1%(年率)のみだ。今年5月15日までに申し込みを行えば、100万円までの投資一任報酬を1年に限り500円に下げる。
デモンストレーションを行ったCFOの坂田宏氏は、「THEO」によって投資に対する不安感や資産運用への恐れを解消し、資産形成を始めるハードルを下げることができると語った。
サービスの特徴上、まずはネットリテラシーに敏感なユーザーが多くなると予想しているが、29歳の坂田氏によれば「それは若者とは限らない」とのことだ。
現時点で具体的な運用資産の目標金額は定めていない。しかし、アメリカのロボアドバイザー市場の成長率が上位1%に入る勢いであることから、今後の日本においても同様の成長が見込めるとしている。
日本は「お金持ちの老人」
「日本人は、いつも最も賢い金融投資をしてきた」と、同社取締役会長の谷家衛氏は語った。
高金利時代や不動産バブルの時に最も金融商品の売買を行っていたのは日本人個人であった。現在、個人の資産の多くが円建ての預金であるのは、円高の時代はそれが一番の正解だったからとのこと。その結果が、不景気と言われて久しいものの、現在でも日本人の持つ対外純資産総額が世界トップであることは事実だ。
しかし現在、人口減少・超高齢化時代に突入した日本において、ほとんどの資産を円建ての預金で持っていることに必然性はない。日本円の持つ、世界経済への影響力が下がりつつあるためだ。
谷家氏は「日本はすごくお金持ちの老人のようなもの」とたとえた。世界の富裕者がプライベートバンクを通して世界中に分散投資し、金融危機に備えると同時に世界経済への貢献を行っていることを「お金を将来の不安ではなく、未来への希望にすること」と語り、それがこれからの日本人が行っていくべき資産運用であると結論づけた。