ベリタステクノロジーズは2月15日、2月2日に情報管理ソリューション企業としてシマンテックから独立したことに伴い、2016年の日本市場における事業戦略の記者会見を行った。
ベリタステクノロジーズの歴史は1989年に発足したベリタス・ソフトウェアにさかのぼり、2005年にシマンテックにより買収され、2014年にシマンテックとの事業分割が発表され、2016年2月に独立企業としてあらためて事業を開始した。
代表執行役員社長を務める西村隆行氏は初めに、シマンテックと事業を分割した理由について、「市場の特性が違ったこと、統合によるシナジーの効果が出せなかったこと」と述べた。
西村氏は、同社がインフラの上に乗っている「情報」に重きを置いていると説明した。「ストレージやハイパーバイザーを導入しただけでは、情報の可用性を確立することはできない。データと情報は同じではなく、同様に、インフラの可用性はアプリケーションの可用性は異なり、より多くのデータがあるからといってより価値が高いわけではない」
そこで同社は、「情報のチカラ」を引き出すべく、「情報がいつでもすぐに使える環境」と「情報の本質をつかむこと」を提供することミッションとする。
具体的には、ソリューション、パートナー戦略、サービスメニューという3つを軸にして、施策を展開していく。
製品戦略については、テクノロジーセールス&サービス統括本部常務執行役員本部長の高井隆太氏が説明を行った。
高井氏は、「情報がいつでもすぐに使える環境」と「情報の本質をつかむこと」を提供するミッションの下、「コア製品のポートフォリオの拡充」「次世代の情報の可用性を向上させるソリューションの提供」「次世代のインサイト・ソリューションの提供」を軸に製品を展開していくと述べた。
同社は、バックアップ/リカバリー製品、ストレージ管理製品、アーカイブ製品などを提供しているが、コア製品として、バックアップ・アプライアンス「NetBackup Applianve」とクラウド型メール・アーカイブサービス「Enterprise Vault.cloud」に注力していく。
「NetBackup Appliance」の国内提供は2015年から行われているが、今後、中小規模の企業をターゲットとした購入しやすいライセンスバンドルモデル、大規模モデルを提供する。
高井氏は、企業がグローバル化を進める中、メール・システムが分断化してコントロールできない状況に陥っており、「すべてのメールを検索できない」「保持期間に基づく証跡を提示できない」といった課題が生じており、これらの課題の解決策として、「Enterprise Vault.cloud」が求められていると説明した。
次に、情報の可用性を向上するソリューションとして「Resiliency Platform」が紹介された。同製品は、物理環境・仮想環境・クラウドサービスをオーケストレーションして、ITサービスの継続性を自動化するとともに、サービスレベルやリスクを可視化する。
「Resiliency Platformでは、ワンクリックで災害対策のリハーサルが行えるが、これは重要なこと。災害対策を行っていても環境の変化に対応していない場合があり、対策として有効であるかどうかを確認しておかないと意味がない」と高井氏。
提供予定のインサイト・ソリューションとしては、「Information Map」が紹介された。同製品は、同社の製品に格納されている非構造化データのメタデータをクラウドサービスにアップロードして、それを視覚化するもの。リスクが存在する領域、有用な領域、無駄な領域を特定して表示するなど、ストレージの管理だけではできない情報の管理を実現する。
古くからIT業界に関わっていれば、大抵の人はベリタスの製品を知っているだろう。シマンテックに買収されたことで、ブランドの認知度が低下してしまっていた感があったが、シマンテックから分離したことで、本来の業務に注力できるのではないだろうか。
実のところ、パートナーからもビジネスがやりやすくなったと今回の独立を歓迎する声が多いそうだ。
ビッグデータのトレンドを追い風に上昇気流に乗ることができるかどうか、今後のベリタスのビジネスに注目したい。