東北大学は2月10日、音楽が運動後の自律神経活動に良い効果をもたらすことを科学的に実証したと発表した。

同成果は同大大学院医学系研究科内部障害学分野の小川佳子 助教、上月正博 教授らのグループによるもので、米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。

心大疾患患者では、交感神経活動と副交感神経活動のバランスが乱れているが、運動を習慣的に継続するとこの自律神経活動のアンバランスが改善することが知られている。しかし、毎回の運動では、運動によって交感神経活動が増加したり副交感神経活動が低下したりする。運動を終了すると、運動中に低下していた副交感神経活動が急激に回復するが、これは心臓へのストレスを回避するための反応で、回復反応の遅れは致死性の不整脈や心臓突然死と関連しているとされる。そのため、運動あるいは運動療法を安全に行う上で、運動後の副交感神経活動の回復を高め、運動に伴う心臓へのストレスを減らすことが重要な課題となる。

一方、音楽は自立神経活動を調整する効果があると考えられており、特に気分を落ち着かせるような音楽は副交感神経活動を高めることが明らかとなっている。今回の研究では、若年研究者に対して自転車こぎ運動の際に気分を落ち着かせる音楽を聞くことで運動後の副交感神経の低下が抑制されることを確認した。

同研究グループは、運動療法に音楽療法を組み合わせることで、さまざまな疾病に対する新しいリハビリテーションプログラムの確立につながることが期待されるとしている。

自転車こぎ運動の際に気分を落ち着かせる音楽を聞くことで、運動後の副交感神経の低下を抑えることができた。