アドビシステムズは9日14:00より、「Flash Professional CC」から名称を変更した「Adobe Animate CC」をはじめとした3製品をアップデートする。本稿では、前日に行われた記者説明会の様子をお届けする。

Adobe Animate CC

「Flash Professional CC」からの名称変更が発表されてから初めての機能追加リリースとなる「Adobe Animate CC」。名称のみならず、機能面でも約3年ぶりの大規模アップデートとなっている。

米アドビのリッチ・リー氏は、あらゆるプラットフォーム向けのアニメーションツールとしての性質を表すために改名に踏み切ったと語った。実際、「Flash Professional CC」で作られたコンテンツの30%がHTML5となっているという。ただし、改名は「SWF(Flashコンテンツ)」や「Adobe AIR」のサポート打ち切りを意味しないとも明言。両形式のほか、HTML5 CANVAS、WebGLに加え、アドオン(Snap.svg等)で多様なプラットフォームに対応可能だ。

今回のアップデート内容にはクリエイティブツール関連が多く含まれ、特にブラシは大幅な機能強化が行われている。同社は「Animate CC」を名称通りアニメーターの利用を想定しているとのこと。ブラシはプリセットのライブラリのほか、スマートフォンアプリ「Adobe Capture CC」を使って自作することもできる。

アニメーターの利用にかかわる機能で言えば、過去に削除された「オニオンスキン」と「ボーンツール」が復活。これまで非対応だったキャンバスの角度変更を可能とするなど、「描画ツール」としての機能アップデートは多い。色にタグをつけて一括変更などを行える「タグスウォッチ」も搭載した。

今回アップデートに含まれた「オニオンスキン」はPhotoshop CCの動画機能に含まれており、それを活用してアニメーターが制作を行う例もある。今後、アニメーターは「Animate CC」でPhotoshopに匹敵する制作が可能になるのかという質問に対し、リー氏は「『Animate CC』ひとつでアニメーション制作を包括して可能になるよう、今後も機能強化を図っていく」と答えた。

また、Flashベースで作られているブラウザゲームなどのWebコンテンツを、同ツールでHTML5で変換可能かという質問に対しては、「SWFプロファイルでは可能だが、HTML5では再現できない機能を使っているコンテンツ」については、該当部分をアラートで知らせ、HTML5で動作可能な状態に変換されるとのこと。ただし、アクションスクリプトの変換ではないので、アセットは流用可能だが、ロジック部分はスクリプトの書き直しが必要と言及した。

Adobe Muse CC

ビジュアルベースでWebデザインを行うための「Adobe Muse CC」は、"コーディングなしでレスポンシブデザイン"ができるアプリケーションとなった。

閲覧時の画面サイズが多様化する現在、サイズに応じたWebレイアウトを実現するレスポンシブデザインの需要は高い。それをコーディングを行わずに実装できるのが今回の大きなトピックとなる。

単に画面幅に応じて画像を並び替えるだけでなく、狭い画面になったら画像を1つ減らし、残りの物を大きく表示するなどの条件付けを行う(「ブレークポイントで隠す」)こともできるほか、ページ内の画像リンク切れの確認と再確認も行える。aiファイルのリンクは、Creative Cloud経由で変更がそのまま反映される(逆にリンクを意図的に切ることも可能)。