東京大学と九州工業大学は2月9日、南鳥島沖合において自律型海中ロボット(AUV)「BOSS-A」によるコバルトリッチクラスト(CRC)の全自動計測に成功したと発表した。

同成果は東京大学生産技術研究所海洋探査システム連携研究センターと九州工業大学社会ロボット具現化センターを中心とする研究グループによるもの。

CRCはコバルトや白金などを含んでおり、日本近海の海山の頂上付近に賦存していることが知られている。広範囲に分布するCRCの賦存領域と開発の適性度を効率的に調査するには、段階的に海底の情報を取得する必要がある。そのため、同研究グループは海底から数10m離れた位置からの広範囲の超音波地形調査、約10mの高度からCRCの面的な分布を見る高高度3次元画像マッピング、2m高度からの詳細なCRC音響厚み計測と高分解能な3次元画像マッピングを行うための計測機器を搭載して自動航行するAUVを用いた調査システムの開発を進めてきた。

同研究グループは、2015年2月に遠隔操作無人探査機による高高度3次元画像マッピングと「BOSS-A」による詳細音響厚み計測および低高度画像マッピングを実施したが、悪天候により十分なAUV潜航が実施できなかった。

今回の計測では、2日間で4潜航を実地、合計で約2.0kmの距離を計測。取得した音響厚みと3次元画像マッピングの統合解析により、合計で4000m2の範囲のCRCの賦存量推定を可能とした。

日本は2013年に3000km2の鉱区の探査権を獲得しており、2013年から2028年までの15年間で調査を行い、有望な鉱区を絞り込む必要がある。今後、今回の成果で確立した技術の民間移転、複数のAUVによるシステマチックな調査により、資源開発の適性度を効率的に評価して、獲得する鉱区を絞り込む日本の調査に貢献することが期待される。