FreeBSD - The Power To Serve

FreeBSDプロジェクトはこのほど「FreeBSD Quarterly Status Report」において、2015年第4四半期における開発状況を報告した。ARM関連の開発が進展したほか、モダンな機能の実装、カーネルの性能向上、各種最新ドライバの導入、仮想化機能サポートの向上、Ports Collectionにおける各種改善などが実施されている。

報告されている主な内容は次のとおり。

  • ARMサポートの強化(BANANAPI、CUBIEBOARD、CUBIEBOARD2、Marvell Armada38x、SoftIron Overdrive 3000サポート追加、特定プロダクトのタッチスクリーン対応、ハードフロートAPI対応、各種機能改善)
  • Netflixの要望で実施されたCAM I/Oスケジューラの開発成果物のレビュー開始(FreeBSD 11に取り込み予定)
  • 暗号化されたカーネルクラッシュダンプ機能(開発段階)
  • RDMA (iSER)をサポートしたiSCSIエクステンション機能。Mellanox Technologiesの10/40/56/100 G IB/Ethernetアダプタのオフロード機能を活用した高性能な通信性能を実現(FreeBSD 11に取り込み予定)。Chelsio T4/T5におけるオフロード機能の実装
  • 複数のスポンサードの下でのMultipath TCPの開発(Cisco University Research Program Fund、FreeBSD Foundation)
  • リソース制御機能(RCTL)におけるディスクスループット機能の開発(FreeBSD 11に取り込み予定)
  • Root Remount機能の実装(開発完了。すでにコミット済みで、FreeBSD 11で有効になる見通し)
  • Mac OS X launchdとよく似た機能の開発を目指したrelaunchdプロジェクト発足(成果物はすでにPorts Collectionにコミット)
  • システム起動、サービス管理、ロギング管理などを包括的に実施するnoshの開発進展
  • UEFIブート機能の改善
  • Hyper-VおよびAzureサポートの向上(パフォーマンス向上、バグ修正など)
  • Xen HVMlite Dom0サポートへ向けた開発開始
  • Intelサーバプラットフォームで提供されているDMAエンジンを利用するためのAPIを提供するI/OATドライバの開発
  • カーネルvnodeキャッシュハンドリングの改善
  • Mellanox ConnectX-4シリーズに対応したドライバの開発(FreeBSD 11および10.3で登場予定)
  • ntb_hw(4)およびif_ntb(4)ドライバをアップデート
  • 仮想メモリシステムにおけるメモリハンドラの改善
  • sendfile(2)システムコールの高速化(すでにプロトタイプはNetflixのプロダクトで成果を上げているほか、Nginxでの性能向上も期待できる)
  • FreeBSD/RISC-Vサポート強化
  • ビルドシステムの改善
  • ELF Tool Chainツールの開発。LLBDデバッガアップデート
  • 長らく登場が期待されていたGitLabのPorts Collectionへの追加
  • Linuxカーネルをユーザランドのライブラリとして動作させるLKL ("Linux Kernel as a Library")のPorts Collectionへの追加
  • Ports CollectionにおけるVariantsサポートへ向けた研究開発
  • style(9)においてC99 boolを許可するように変更
  • セキュリティに注力したHardenedBSD開発進展
  • 組み込みに特化したNanoBSD開発進展

FreeBSDプロジェクトの開発のみならず、主要なFreeBSDベンダおよびFreeBSD Foundationのスポンサーシップの下で実施されている開発などが注目される。複数の主要ベンダーが関与して積極的に開発が進められていることがわかる。