米ボーイングは1月29日(現地時間)、開発中の最新鋭旅客機「737 MAX」の初飛行に成功した。737 MAXは現在世界中で運航中の737 NGを大幅に改良した機体で、燃費が20%も向上。今後も開発と試験を重ね、2017年の第3四半期から航空会社への引き渡しを始めたいとしている。
今回の初飛行では、737 MAXは日本時間1月30日2時46分(太平洋標準時1月29日9時46分)に、機体の製造工場がある米シアトルのレントン工場に隣接するレントン空港を離陸。2時間47分にわたってシアトル上空を飛行した後、同7時33分(同12時33分)にボーイング・フィールド(キング郡国際空港)に着陸した。最大到達高度は7620m、速度は250ノット(時速463km)を記録した。
初飛行を務めたパイロットのエド・ウィルソン氏は「飛行は成功でした。この初飛行で、737 MAXが顧客の期待に応えられるという、十分な確信を感じました」と語った。
737 MAXは、1968年に登場し、世界各地の短距離路線などで活躍する737シリーズの最新型機で、エンジンにはCFMインターナショナルが開発した新型の「LEAP-1B」を採用。主翼の端には、新たに開発された2枚の羽をもつ「アドヴァンスト・テクノロジー・ウィングレット」を装備している。また一部にフライ・バイ・ワイアー技術を用いるなど機体全体の軽量化も図られており、現行の737 NG(Next Generation)型機と比べ、最大20%も燃費が向上している。
また737 NGでは航続距離が伸び、短距離路線だけでなく中長距離路線への投入も可能となったが、737 MAXではさらに延長。離着陸時の騒音も737 NGより40%ほど抑えられている。
機内の内装は787に準じた「ボーイング・スカイ・インテリア」を標準採用する。スカイ・インテリアは荷物をしまい易い大きな天井収納棚やLED照明などを特長としており、すでに一部の737 NGでは導入されている。
737 MAXは今回初飛行した標準型の737 MAX 8の他、やや小ぶりな737 MAX 7と、より大きな737 MAX 9の、大きく3種類が用意されている。
737 MAX 8は現在、今回初飛行した機体以外にも、飛行試験用の3機が最終組み立ての段階にあり、今後これらを使った試験を進め、2017年の第3四半期にも、量産1号機をサウスウエスト航空に納入する計画となっている。これまでにサウスウェスト航空やインドネシアのライオン・エアなどをはじめ、62の顧客から3072機の発注を受けている。
運用コストはエアバスA320neoより8%安価に
737 MAXと競合するのは、欧州のエアバスが開発したA320neoとなる。A320neoも、737 MAXに採用されたLEAPエンジンのシリーズである「LEAP-1A」を選択可能で、また「シャークレット」と呼ばれる大型のウイングチップを装備するなどし、従来機と比べ最大15%ほどの燃費向上を達成している。これまでに4471機の発注を受けており、すでにA320neoの量産1号機は今年1月20日に、ルフトハンザ・ドイツ航空へ引き渡されている。
ボーイングはA320neoを脅威と捉え、2011年に737にLEAPエンジンを搭載するなどし、A320neoと同等かそれ以上の性能に引き上げた改良型の737を開発することを決定。これが現在の737 MAXとなった。
ボーイングによると、737 MAXはA320neoと比べ、約8%の燃費向上を達成しているという。
【参考】
・Boeing Completes Successful 737 MAX First Flight - Jan 29, 2016
http://boeing.mediaroom.com/2016-01-29-Boeing-Completes-Successful-737-MAX-First-Flight
・Boeing: Be Part of First Flight
http://www.boeing.com/commercial/737max/first-flight/?cm_re=January_2016-_-Roadblock-_-737+MAX+First+Flight