キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)と日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は2月8日、企業内の膨大な文書を効率的に電子化するデータ・キャプチャー・ソリューション分野で協力していくことを発表した。両社は、コグニティブ技術をベースとしたソフトウェアと手書き日本語OCR認識ソリューションを組み合わせたデータ・キャプチャー・ソリューションを2月9日から提供していく。

具体的には、キヤノンMJの手書き日本語OCR認識ソリューション「Rosetta-Stone-Components」のソフトウェア開発キット(SDK)を活用することで、「Rosetta-Stone-Components」と日本IBMが提供する文書の入力・分類・検証・配信基盤ソリューション「IBM Datacap」を連携させる。

「Rosetta-Stone-Components」は、キヤノンの日本語OCRエンジンで、手書きや活字文字のOCR処理、 スキャンした画像の補正や帳票の認識、インデックス入力などを自動化し、業務フローごとにカスタマイズするといったことが可能となる。これにより、紙文書の手作業による仕分けや入力作業を簡略化することができるようになる。

「IBM Datacap」は、膨大な書類の処理、手作業による分類とデータ入力、目視検証、保管の手間など、企業の書類業務にある課題を解決するためのデータ・キャプチャー・プラットフォーム。特に、「IBM Datacap Insight Edition」は画像処理、自然言語処理、機械学習のテクノロジーを併用することで、文書の分類と内容の把握を自動化するという。

「Rosetta-Stone-Components」と「IBM Datacap」の連携ソリューションによる、業務フロー改善イメージ
従来のフローでは、書類の配送などが必要となっていたが、同ソリューションを導入することによって、書類を電子化し、自動で仕分けまで行われるため、業務の効率化につながる

「IBM Datacap」は昨年から日本語版が展開されていたものの、もともとアメリカ製品ということもあり、OCR部分の日本語対応がネックとなっていた。また、帳票も日米で異なるため、帳票認識技術においても、日本で普及しにくい要因となっていたという。そこで、これまで電子保存の条件に対応した、複合機やドキュメントスキャナを展開し、文書管理やOCRといったアプリケーションソフトウェアや、金融業界などにおける実績・ノウハウを有するキヤノンMJと連携することによって、「IBM Datacap」の機能はそのままに、日本語機能を強化するかたちで、ソリューション提供できるようになった。

今回の連携による特徴の1つが、「コグニティブ・キャプチャー」機能である。同機能によって、文章の「内容」「位置情報」「フォントの大きさ・太さ」「表の見出し」などの情報からビジネスのキーとなる情報を推測して取り出すことが可能となる。IBMのコグニティブ技術を活用し、定型帳票だけでなく非定型帳票からも情報取得が可能だという。

特徴1:コグニティブ・キャプチャー

2つめは、「分散キャプチャー」機能である。これまで多くの企業では、書類を各拠点へ配送し、配送された後にデータ入力が行われていたが、今回の連携によって、書類を保有している各拠点でスキャンすると、あらかじめ設定されたルールに則って、仕分け分類された上でデータ登録されるようになる。

特徴2:分散キャプチャー

3つめは、キヤノン製日本語OCRエンジン(オプション)である。「IBM Datacap」の標準機能では対応できなかった、日本語手書きOCRが可能となった。日本語だけでなく、数字についても、欧米人と日本人では数字の書き方が異なり、通常日本人の書く「7」は認識できないのだという。

特徴3:キヤノン製日本語OCRエンジン

両社は、金融、保険、製造、流通サービス、ヘルスケアをはじめとする各業界で、各種申込書、契約書、画像、マルチメディアなどの、多様なフォーマットでの紙出力やデジタル文書の作成をともなう商取引の効率的な実施を支援するために、本連携ソリューションを提供していくという。なお、同ソリューションの販売価格は、500万円(税別)~となる。