テックビューロは2月5日、プライベート・ブロックチェーンPaaS「mijinクラウドチェーン」のオープンβプログラムを開始した。同環境は一般に解放され、無償のウォレットアプリケーションを使用することにより、仮想通貨の発行や金融機関の模擬などといったさまざまな実証実験をその場で開始できるという。同プログラムは、2016年6月末まで無償で解放される。
ブロックチェーンは、データの整合性を崩さずに、ダウンタイムを撤廃した分散型の勘定エンジンが低コストで構築できる技術とされている。
同プログラムは、2015年12月に発表され、15カ国167企業から申込があったという実証実験環境「mijinクラウドチェーンβ」の共用版となっている。全ての機能は両プログラムで共通となり、全ての機能が使用できるが、今回は使用するネットワークがほかの多数のβテスターと共用となる点のみが前回のものとは異なる点だという。
同プログラムでは、「mijin」ネットワーク上で無償のウォレットアプリケーション「Light Wallet(ライトウォレット)」が利用可能。同アプリケーションはWindows環境で動作し、mijinのネットワークに接続することにより、ブラウザから独自の仮想通貨やアセットを自由に発行することが可能だという。アセット発行時には、小数点以下の桁数や、発行総数、必要手数料など詳細な設定が可能となっている。
発行された仮想通貨(トークン)は、ブラウザ上の同アプリケーションから送金や管理が可能であり、無駄なコストや工数をかけることなく、その場ですぐに仮想通貨や独自トークン、ポイント、銀行、電子マネーなどの実証実験を開始することが可能だという。
さらに、mijinではドメイン概念である「namespace」が実装されており、その下に設定の異なったアセットをツリー状に複数作成することも可能となっている。
例えば上図の場合、米ドル残高と日本円残高を「mijin」というネームスペース下の「fiat」というサブスペースで管理し、ポイント残高を別途「mijin」のネームスペース下で直接管理している。この構造を組み合わせることにより、数字の残高に限らず、ブロックチェーン上で複雑なアセット管理とアプリケーション設計が可能 |
同プログラムで提供されるmijinネットワークでは、上記の「namespace」や、既に実装されている「multi-signature(複数鍵署名)」などを含む全ての機能が利用できるという。上記ウォレットアプリケーションからだけではなく、用意されたAPI上にアプリケーションを作成することも可能であり、単なる仮想通貨やポイントサービスに限らず、認証システムからアセット管理、取引所、メッセージングなど、さまざまな実証実験が実施可能となる。