arcserve Japanは2月3日、都内で記者会見を開き、統合バックアップ・リカバリソリューションの新ソフトウェア「Arcserve Unified Data Protection v6(Arcserve UDP v6)」および「Arcserve Backup r17」を発表した。両製品ともに同月29日に受注開始、3月3日からの出荷を予定している。
最初にarcserve Japan 社長の江黒研太郎氏は「今回の新製品は特に仮想化と災害対策に注力し、機能強化した。中小規模の要件に対応していく。目標ライセンス数はArcserve UDP v5と比較して2桁の成長率を見込んでいる」と述べた。
続いて、arcserve Japan ソリューション統括部シニアコンサルタントの渡辺敬彦氏が新製品について説明を行い「Arcserve UDP v6は、特に注目してもらいたい機能が3つある。1つ目は、手間や時間をかけない業務継続を実現するインスタントVM、2つ目はコマンドによるジョブ管理ツールと連携させたバックアップ運用の自動化、3つ目はLinuxバックアップの強化となる」と語った。
同氏はインスタントVMについて「復旧ポイントと呼ばれるバックアップデータを参照するVMを作成し、本番サーバの代わりとして使う。この機能を使うことで本番サーバが障害で使用できなくなった場合にリストアを待たずにすぐに業務を再開できる。また、バックアップを取ったシステムが正常に動作するかどうかをすぐに確認が可能となっている。従来も仮想スタンバイという似た機能があったが、インスタントVMはWindow/Linux、物理/仮想環境を問わず利用可能なほか、ディスク利用料は少なく、災害時の一時的な業務に有効だ」と強調した。
また、バックアップ運用の自動化については「これまでUDPでバックアップを実行する場合、スケジュールの実行とコンソールから手動で実行していたものの、イベントが発生したあとにバックアップを行うことには対応していなかった。コマンドラインインタフェースを使用すると業務システムの本番業務が終了し、システムが停止した段階ですぐにバックアップが可能となった。そのため、ジョブ管理ツールで業務を監視している環境でUDPを使い、バックアップをジョブフローの処理として利用できる。バックアップ対象はWindows/Linux、仮想、物理などで、バックアップの実行は設定でプランを作成し、コマンドで実行すれば行える。また、リストアはコマンドラインでファイル、VM単位で指定し、行うことができる」と同氏は主張した。
Linuxバックアップの強化について渡辺氏は「これまで、Windows、仮想環境のバックアップについては復旧ポイントサーバへのバックアップが可能だったが、Linuxの物理環境もバックアップが可能となった。そのため、Linux/Windows、仮想環境を1つの復旧サーバでバックアップが行える。また、ローカル作業不要のベアメタル復旧作業が可能となり、従来、ベアメタル復旧の作業をする場合はローカル作業が必要だったが、UDPのコンソールからリモートで操作ができる。さらに、エージェントレスによるファイル単位のリストアが可能となっている」と説明した。
このようにArcserve UDP v6はシンプルな運用をユーザーに提供し、仮想化統合基盤の課題や事業継続の実現に応えるべく機能強化されており、災害や障害時などに迅速に業務を再開できるリカバリ機能、運用管理ツールとのジョブ連携、Linuxプラットフォームに向けた機能強化が含まれている。
今後、増加が見込まれるデータの効率的な管理と、物理/仮想、Windows/Linux、クラウドまでが混在するシステムの複雑さを単一製品で保護できることは同ソフトウェアを利用するユーザーにとってメリットになるという。さらに、これまで高価で手を付けられなかった災害対策も標準機能で迅速に実現を可能としている。
一方、Arcserve Backup r17はMicrosoft Exchange Serverの詳細レベルリストアユーティリティを提供するほか、VMware vSphere 6.0 Update 1とVDDK 6.0 Update 1をサポートしている。
また、バックアップ元とバックアップ先として、1セクタあたりのサイズが4KBとなる4Kディスクに対応し、4TB以上の大容量HDDの利用が可能。そのほか、LTO-7テープ装置とLTO-7テープに対応。非圧縮で6.0TB、圧縮時には最大15TBまでと、LTO-6の約2倍のバックアップデータの高速な保存ができるという。
価格はいずれも税別でArcserve UDP v6が10万円(1年間の保守サポート含む)~、Arcserve Backup r17が15万円~。