日本オラクルは2月2日、IT技術者育成のためのさまざまなコンテンツやプログラムを教育機関向けに提供している「Oracle Academy」を刷新すると発表した。

Oracle Academyの会員は、学習コースやオンライントレーニングから構成される「カリキュラム」、オラクル製品やJavaの開発環境などの200以上の「ソフトウェア」、OU講座や認定試験受験料の「割引制度」、集合クラスやバーチャルクラスなどから構成される「トレーニング」を利用することができる。

刷新された「Oracle Academy」の特徴は3つある。1つは会員制度の刷新で、これまで約6万円の年会費が必要だったところ、無償になったほか、団体に加えて個人でも入会できるようになった。個人での契約は主に研究目的を想定しているという。

また、対象教育機関が中学・高校までを拡大し、新たなカリキュラムを開発し提供する。3つ目の特徴は、ビッグデータ、IoT、クラウドといった最新技術を学ぶことができるプログラムを拡充していくことだ。

取締役 代表執行役社長 兼 CEOの杉原博茂氏は、「Oracle Academyは国内で提供を開始してから13年たち、2万人以上の学生がOracle DatabaseやJavaの資格取得をしているなど、数々の実績があるが、特に注目していただきたいのは地方創生に貢献していること。大学・専門学校の既存の参加校のうち、70%は首都圏以外の教育機関となっている」と、Oracle Academyが地方の人材育成を支援しており、それが地方創生につながっていることをアピールした。

日本オラクル 取締役 代表執行役社長 兼 CEO 杉原博茂氏

さらに杉原氏は、国内のOracle Academyならではの活動の特徴についても、地方創生としての貢献を強めていくと語った。

「日本のOracle Academyとしては、まずは認知度を高めていきたい。オラクルがこのような活動をしていることはあまり知られていないように思う。また地方創生の一環として、地方の学校への提供を増やしていきたい。そのために、昨年は7支社にOracle Academyの担当者を配置した。また、Oracle Academyの活用すれば、地方にいながらもグローバルで通用する人材を育成することが可能だ。行政にも、『東京に出てこなくても、ITを学ぶことができる』ことを知ってもらいたい。これも産官学連携の強化につながると思う」

続いて、オラクル・アカデミー担当マネジャーの瀬戸亮一氏が、新たに開発された中学・高校生向けのプログラムを紹介した。

日本オラクル オラクル・アカデミー担当マネジャー 瀬戸亮一氏

中学生向けには、フリーの開発ルーム「Alice」を使ってあらかじめ設定されているひな形のプログラムを各自で組み合わせてコンピュータ・グラフィック制作を行うカリキュラムが8時間コースで提供される。

アリスでは、用意されたオブジェクトを使って3Dアニメーションを作成することでプログラミングの初歩を体験できる。具体的には、遊園地という仮想空間で、遊具や道路などを作成することが可能だ。

アリスでの開発画面

アリスで作成した3Dアニメーションの画面

高校生向けには、フリーの開発ツール「Greenfoot」を使ってJava言語によるプログラミング学習を通じて2Dゲームの開発を行うカリキュラムが16時間コースで提供される。作成できる2Dゲームは「Snakeworld」という名称で、ヘビが自分の体や壁に当たるとゲームが終わるという仕様。

「Snakeworld」の画面

瀬戸氏は、大学生に向けて提供される最新技術に関するカリキュラムとして、クラウド・コンピューティングの概要を学べる「Cloud Computing」、ビッグデータの基本概念やHadoopを学べる「Big Data Science Boot Camp」、NoSQLの基本スキルを習得できる「Big Data Learning Library」を紹介した。

「Oracle Academy」の一部のカリキュラム