テクトロニクス社は2月2日、米国本社の創立70周年(1946年2月2日創立)を機に新たなブランド戦略を策定したほか、併せて24年ぶりに企業ロゴを刷新したことを明らかにした。

テクトロニクス社代表取締役を務める米山不器氏

同社代表取締役である米山不器氏は、「Tektronixは少なくとも10年単位で、『顧客がどこに向かっているのか』、「我々に求められる本当の価値とは」、「将来はどこに向かっているのか」という3つの基本的な問いかけを行ってきており、継続して既存路線を踏襲していくだけでなく、自らが新たな分野を開拓していくことを基本とし、これからの自社の姿の模索を行ってきた」とし、その結果として、IoTの勃興や自動車のエレクトロニクス化の進展、RF技術の浸透など、時代が技術の転換点を迎えていると判断。従来の製品中心のハードウェアカンパニーから、よりアプリケーションにフォーカスしたテクノロジー・カンパニーへと向かっていく動きを加速していく必要性があると感じたことから、今回の新ブランド戦略ならびに新ロゴの作成に至ったとする。

会社としての大上段の戦略としては、アプリケーションにフォーカスしたソリューションベンダへと変貌を遂げることであるが、その目的に向かう求心力となるビジョンも新たに「私たちは、お客様と共に、未来を創る技術イノベーションの実現に向け、日夜全力で取り組みます」というものを策定した。「これまでも色々な場面で似たような言葉を社内のスローガンとして掲げてきたが、今回、70周年の節目ということもあり、それを社内外に発信していくグローバルの統一ビジョンとした」(米山氏)とのことで、機会があるごとに社内外でこのビジョンの実践を行っていくことを強調する。

また、戦略、ビジョンに併せてアイデンティティの見直しも図られたという。具体的には、計測に関するさまざまなノウハウを活用することで技術を進化させ、カスタマが解決を求める複雑化する計測ニーズに対し、正確かつ迅速、簡単に実現する支援を行っていくというもので、以下の6つの行動指針を基本に活動が行われていくこととなる。

  • シンプリシティ:私たちは、複雑な技術的課題があっても、よりシンプルな製品、サービス、ソリューション、ポリシーをご提供できるように取り組んでいきます
  • コラボレーション:私たちは、お客様と積極的に協力し、より良い方法で問題を解決します
  • インテグレーション:私たちは、計測器の統合をさらに推し進め、問題をスマートに解決する革新的なテスト・プロセスを提供していきます
  • プレシジョン:私たちは、精度の高い計測器だけでなく、お客様それぞれのニーズに合ったソリューション、サービス、情報を提供します
  • インサイト:私たちは、アプリケーションおよびデータの収集・解析に関する専門的ノウハウを高め、迅速で正しい意思決定をお手伝いします
  • スピード:私たちは、技術革新を加速し、お客様の進化・発展に貢献します

もう1つ、そうした行動の象徴となるのが新たなロゴだ。サンセリフ書体を基本に、頭文字のTの右を切り取り斜めにしたほか、kを斜めに切ることで、上昇志向を示すとともに、シンプルにすることで、複雑な技術を簡単に活用してもらう、といった意味合いを込めたという。また、これまでのロゴではテックブルーの愛称で親しまれてきた濃い青を基調としていたが、新ロゴでは同じ青系統の色を基調にすることで、技術を重視するといった変わらない部分を残しつつ、新たな姿に変わっていくというフレッシュさを併せ持たせたとする。

左のスライドがこれまでのTektronixの企業ロゴの変遷。今回、24年ぶりに新たなロゴマークへと変更された

テクトロニクス社の受付に掲げられた看板も本日、新たなロゴマークへと変更がなされた

なお2016年のビジネス戦略の方針としては、大きく3つの柱で遂行されることになるという。1つ目はカスタマのアプリケーションにフォーカスして、ソリューションとして提供していくというもので、成長市場として「半導体/電子部品」、「インダストリアル」、「自動車」、「ネットワーク」の4分野を掲げる。2つ目の戦略はコラボレーションで、これまで重視してきたカスタマ、ビジネスパートナー、Tektronixの関係性を維持・発展させていくこととなる。そして3つ目が、こうした2つの戦略を実際に行動するための組織再編で、すでに年初から新たな営業体制を構築し、パートナーとのコラボレーションの加速を目指す専門部隊や、自社製品を技術的に網羅して、よりアプリケーションで生じる複合的な技術課題の解決を支援する部隊などが設置されたという。加えて、インドを中心に計測ソリューションの構築に向けたアプリケーション開発チームなどの拡充を進めており、今後、そうしたそれぞれのアプリケーションに見合ったハード+ソフトといったソリューションとしての展開が本格化していくことになるという。

Tektronixの2016年における戦略の全貌。4つの市場にフォーカスし、それぞれの市場で生じる課題の解決に向けた計測ソリューションの展開を図っていくこととなる