国際科学技術財団は26日、今年の日本国際賞を細野秀雄東京工業大学教授とスティーブン・タンクスリー米コーネル大学名誉教授に授与する、と発表した。
「物質、材料、生産」分野の受賞者となった細野氏の受賞理由は、元素や化合物の固定概念を打ち破る数々の電子材料や物質を創り出した業績。具体的な成果として、省エネ性の高い液晶ディスプレーとしてパーソナルコンピューターやタブレットなどに実用化されているIn-Ga-Zn-O(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)系薄膜トランジスタ(IGZO-TFT)をはじめ、セメント材料からつくった電気伝導性を持つ化合物、鉄を含む高温超電導体の発見などが挙げられている。
「生物生産、生命環境」分野の受賞者となったタンクスリー氏は、ゲノム解析により作物の染色体地図を作成し、果実の大きさなど生産性に関連する遺伝子を同定する革新的技術も開発した。ゲノム情報と育種技術とを融合したことで、育種期間の大幅な短縮や品種開発の確実性の向上に大きく貢献した業績が受賞理由となった。
授賞式は4月20日に東京で開催され、賞金5,000万円がそれぞれ贈られる。
細野氏は、東京工業大学元素戦略研究センター長と同大学応用セラミックス研究所教授を兼ねる。科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業ERATO「細野透明電子活性プロジェクト」、FIRST最先端研究開発支援プログラム「新超電導および関連機能物質の探索と産業用超電導線材の応用」、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業ACCEL「エレクトライドの物質科学と応用展開」など数多くの大型研究開発プロジェクトの責任者を務めてきた。
細野氏は国際情報サービス企業「トムソン・ロイター」が、論文の引用数などから毎年、公表しているノーベル賞受賞の可能性が高い研究者にも、既に2013年に選ばれている。
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