米国の宇宙開発企業「ブルー・オリジン」は1月22日(現地時間)、昨年11月に打ち上げと着陸に成功した「ニュー・シェパード」ロケットを、再び打ち上げて宇宙まで飛ばし、地上に着陸させることに成功した。垂直に離着陸する形式の再使用ロケットが、実際に再使用され、宇宙空間に到達した後に着陸に成功したのは史上初で、大きな快挙となった。

ロケットは1月22日(現地時間、時刻は不明)に、西テキサス地方にある同社の試験場から離昇した。ロケットは高度101.7kmまで上昇し、先端に積んだ無人の宇宙船カプセルを分離。その後カプセルはパラシュートで地上に帰還し、一方のロケットは、エンジンを逆噴射しつつ、地上に垂直に着陸した。

ニュー・シェパードは昨年11月23日、今回の打ち上げに使ったものと同一の機体を打ち上げ、その際も宇宙空間まで達した後、垂直に着陸することに成功している。その後同社は、機体を再使用するために必要な点検や整備を行い、また11月の飛行で得られたデータなどを基にソフトウェアの改良なども実施。そして先端に再びカプセルを搭載し、今回の再打ち上げを成功させた。

なお、カプセルも前回の飛行と同様のものが再使用されたかどうかは明らかにされていない。

同社では発表の中で、「我々は今年、ニュー・シェパードを、さらに何度も何度も飛行させるつもりだ」と語っている。

ニュー・シェパードの打ち上げ。 (C) Blue Origin

ニュー・シェパードが着陸する瞬間。 (C) Blue Origin

パラシュートで降下する宇宙船カプセル部分。 (C) Blue Origin

公開されたロケットの「再利用」動画 (C) Blue Origin

ブルー・オリジンとニュー・シェパード

ブルー・オリジンは2000年9月に、ネット通販大手のAmazon.comを設立したことで知られるジェフ・ベゾス氏によって立ち上げられた。同社は旅客機のように何度も飛行ができる「再使用ロケット」の研究開発を行っており、これまで試験機の打ち上げを続けてきている。

ニュー・シェパードは単段式のロケットで、垂直に打ち上げ、高度100kmの宇宙空間まで上昇した後、そのまま垂直に着陸し、整備と推進剤の補給を行い再び打ち上げることができる能力をもつ。ロケット・エンジンには液体酸素と液体水素を使う「BE-3」を使う。人工衛星を打ち上げることはできないが、ロケットの先端に人や実験装置などを積んだカプセルを搭載することができ、宇宙観光や簡単な宇宙実験などを行うことができるようになっている。

初の試験飛行は2015年4月に行われ、高度93kmまで到達したものの、ロケットの着陸に失敗。そして同年11月23日に行われた飛行試験では、高度100.5kmまで到達した後、地上に帰還することに成功した。

ブルー・オリジンでは今後もニュー・シェパードの試験飛行を繰り返し行い、2年以内にも同ロケットを使った宇宙観光や宇宙実験を、ビジネスとして展開したいとしている。また、人工衛星を打ち上げられる大型の再使用ロケットの開発も進められており、2019年ごろの初打ち上げを目指すという。

再使用ロケットの開発をめぐっては、同じ米国の宇宙企業である「スペースX」も挑戦を続けており、両社の競争がよりいっそう激化することが予想される。

参考

・Blue Origin | Launch. Land. Repeat.
 https://www.blueorigin.com/news/blog/launch-land-repeat
・Launch. Land. Repeat. - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=74tyedGkoUc