アクセンチュアは1月21日、世界28カ国2万8000人の消費者を対象とした「2016 Accenture Digital Consumer Survey(2016年 アクセンチュア デジタル消費者調査)」の結果を発表した。

これによると、高まるセキュリティへの懸念、スマートフォンやタブレット端末の需要の停滞、そして期待されるIoT市場の足どりの重さにより、家電業界を取り巻く環境は、来年度まで大きな好転が見られないことが明らかになった。

「2016年 アクセンチュア デジタル消費者調査」調査レポート

調査では、「今年中にスマートフォンを購入する」とした回答者は半数以下(48%)にとどまり、昨年の54%から6ポイント減少した。同様の傾向はほかのスマート家電製品でも顕著に見られており、「今年中に新型テレビやタブレットを購入する」とした回答者は、それぞれ30%と29%で、昨年の38%から減少した。

アクセンチュアのエレクトロニクス・ハイテクグループのグローバル マネジング・ディレクター、サミ・ルコネン(Sami Luukkonen)氏は、「消費者向けテクノロジー市場の低迷は、今のところ打開策に乏しく、グローバル規模で見られる状況。華美な製品でアピールできる時代は終わり、安全性と革新性、そして実用性を兼ね備えたデジタルサービスの提供や業界横断的なオープンコラボレーションが求められている。買い替え需要はあるものの、端末自体に対する新たな需要が減少している現在、家電業界は消費者の信頼を獲得できる革新的な付加価値サービスを打ち出すことが喫緊の課題」と述べている。

また、成熟したスマートフォン市場に代わり、今後の成長をけん引すると有望視されたIoTデバイス市場の成長も鈍く、踊り場から脱して大きく伸びていないことが明らかになった。例えば、「来年中にスマートウオッチを購入する」とした回答者は13%であり、昨年度の調査と比較して1%の微増にとどまる。

フィットネスモニターやウェアラブルヘルスケア端末、スマートサーモスタット、コネクテッドホーム 監視カメラを含むさまざまな製品に購入意欲を示した回答者は9%と大きな成長がみられず、昨年度の調査からあまり変化が見られなかった。特にスマートウオッチの販売不調は、消費者の求めるバッテリー駆動時間、操作性、デザイン性における期待値をいまだにメーカーも販売店も十分に満たせていないことに起因する。

日本市場を対象とした調査結果では、スマートフォンの購買意欲がピーク時の2年前と比較して、8%程度の低下が見られた。買い替え需要はあるものの、日本はスマートフォンにおいて、かなり成熟した市場であると同社は分析している。一方で、スマートウォッチやウェアラブル フィットネス モニターなどの次世代型IoT製品に関しては、他国と比較すると購買意欲に大きな遅れが見られる。

これは通常みられる日本市場の特徴であるとしており、その理由として、

  • 製品が普及期に達するためには、まだまだ高額

  • 使用する価値が不明瞭

  • 複雑すぎる特性と機能について消費者が課題視している

という結果になった。アクセンチュアは、「家電メーカーとプロバイダー各社は、消費者の心をつかむべく顧客体験を向上させる一層の努力が必要だ」とまとめている。