IDC Japanは1月21日、国内ストレージソフトウェア市場の2015年上半期の売上実績と2015年~2019年の予測を発表した。これによると、2015年上半期の国内ストレージソフトウェアの売上実績は427億3,200万円、前年比成長率は5.0%のプラス成長となった。また、2015年通期の国内ストレージソフトウェア売り上げを867億6,000万円、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.2%、2019年の市場規模を1,019億6,800万円と予測している。
ストレージソフトウェアの需要を押し上げている主な要因は2つあり、第1にITインフラの運用効率化/自動化への要求が高まっていること、第2にソーシャル、モバイル、IoT(Internet of Things)などの活用に取り組むユーザーが増えてデータ量が飛躍的に増加していることを挙げた。また、データ保護や可用性対策への支出も堅調で、大企業を中心に災害対策の強化も進んでいる。
しかし、堅調な需要とは裏腹にストレージソフトウェアの供給サイド、特にストレージシステムのベンダーから提供されているストレージソフトウェアの動向には不確定要素があるという。ベンダーがより高度な機能をソフトウェアとして提供し続けることが確実である一方、それをどのような価格戦略、製品パッケージで提供するかについては複数の方針選択があり得るとしている。
ベンダーがストレージビジネス全体の競争力強化を考慮した場合、ストレージソフトウェアのスイート化や標準搭載が増える可能性があり、その場合にはストレージソフトウェアとしての売り上げは減少する。ストレージソフトウェアの機能進化や高度な機能の普及と市場の売上規模の拡大は必ずしも同調したペースとはならないという。
同社のエンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーである鈴木康介氏は「デジタルトランスフォーメーションに成功し、競争力を増す企業が増えていく中で、多くの国内ユーザーはデータ活用の促進を図るであろう。これまでとはスケールの異なる大容量データを扱う企業も増え、ストレージインフラはソフトウェアを高度に利用した洗練された仕組みへと改革されるとみられる。また、Software-Defined Infrastructureを志向し、運用の自動化を進めるユーザーが増えることもストレージソフトウェア機能のニーズを高めるが、統合的なIT管理ソフトウェアで提供される機能を利用するユーザーも出てくることで、製品の選択は多様化するであろう」と分析している。