Coltテクノロジーサービスは1月18日、シンガポール初となるMEF CE 2.0に準拠した自社ネットワークのイーサネットサービス「etherXEN SG」の提供を開始した。今回、シンガポールへの同サービスの展開について、同社の執行役員 プロダクトマネジメント本部プロダクトマネジメント部の星野真人氏に話を伺ったので、その模様をお届けする。
同社では、都市部(メトロエリア)に特化するサービス戦略に沿った同社ネットワーク基盤のアジア展開の一環として、関東首都圏および大阪エリアで提供しているクラウドやデータセンターとの親和性と広帯域化にフォーカスしたイーサネットサービス「etherXEN」をシンガポール向けに展開する。
etherXEN SGはアジア地域において日本国外に展開する初のメトロエリアネットワークサービス。グローバルの既存メトロエリアにetherXEN SGを追加することで、合計48カ所のメトロエリアでサービスを提供し、メトロエリアに拠点を持つ多国籍企業など顧客のネットワーク接続需要に対応していく。
星野氏はシンガポールにおけるetherXEN SGの提供開始について「シンガポールは東京、横浜、大阪に次ぐ、アジア展開となり、われわれの強みはコントロールとコスト。コントロールについては自社ネットワークのためオペレーションのクオリティの担保が可能で、例えば障害が発生した時に迅速に切り分けが可能なほか、SDN(Soft-Defined Network:ソフトウェア定義型ネットワーク)のファンクションを導入した際に帯域の増減などの設定変更が容易にできる。また、コストについては競争力のある金額で提供していく」と説明した。
そのうえで同氏はサービスのクオリティを担保するため、10万回線以上を提供しているヨーロッパ、日本と同様のサービスをシンガポールでも提供することや、パケットロスの保証など優位性のあるSLA(サービス品質保証)、シンガポール国内では初となるSDNの提供が可能なプラットフォームであるMEF CE 2.0の認証を取得している点など自社ネットワークの信頼性を訴えた。
また、機能性については2M~1Gbpsまでの帯域保証をはじめバースト機能への対応を定額で提供できることに加え、データセンター間の接続や拠点間の接続などAWS(Amazon Web Service)への接続を提供。さらに、トラフィックや帯域管理をはじめとしたネットワークのパフォーマンスをモニタリングすることが可能だという。
同氏はシンガポールに進出する目的について「シンガポールはビジネスハブとしての役割もあり、そこに対するコネクティビティは数年前からニーズが高くなっている。また、既存のグローバルの自社ネットワーク資産を合わせることでトータルなエンドツーエンドソリューションを提供できる体制を構築するため、進出する」と強調した。
etherXEN SGはバックボーンネットワークを冗長構成とし、同社が回線敷設および運用をエンドツーエンドで行うほか、サービスを構成するネットワーク機器はMEF CE 2.0に準拠しており、国際標準に沿ったネットワーク使用と品質が保証されている。また、最短契約期間を3カ月とするフレキシブルな契約形態とし、SLAにサービス提供納期、MTTR(平均復旧時間)、パケットロスに関する品質保証を含むことも可能だ。
価格はメトロエリアへのフォーカスとSDNベースのネットワーク機器の導入により、シンガポールの市場価格に比べ約30%低減。ヨーロッパおよび日本と同一のネットワーク機器を利用することで研究開発コストを抑え、料金の低減を図ったという。下表は同イーサネットのサービス概要。
星野氏は将来的な見通しとして「現在、シンガポールに4つの基地局を設置し、同国内の商業ビルの60%(1万5000棟)を接続している。今後、2016年中には2カ所に追加で基地局の設置を予定しており、合計6カ所に配置することで80%(1万6000~7000棟)に拡大していく。ターゲットは、これまでの金融関連に加え、外資系の大手キャリアやメディア、ゲーミング、ヘルスケアにおけるマーケットの拡大をねらい、そこにフィットするサービスを提供していく。また、IDCの調査によるとシンガポール国内のイーサネット市場規模は2017年には5億2200万ドルと想定されており、われわれとしては数年間で1000回線の獲得を目指す」とシンガポールにおける事業展開に期待を寄せた。