日本ヒューレット・パッカード(HPE)は1月14日、次世代ネットワーク・アクセスソリューションのプロバイダーであるアルバネットワークスとの統合に関する記者会見を都内で行った。米Hewlett Packard Enterpriseは2015年3月にアルバネットワークスを約30億ドルで買収することを発表し、同月に統合が完了。今回は、日本法人の代表取締役社長 執行役員の吉田仁志氏が国内における事業方針を説明した。
最初に吉田氏がアルバネットワークスとの統合の意義について「HPEの戦略であるNew Style of Businessではデジタル・エンタープライズの『保護』、データ指向経営の『推進』、ワークプレイスの生産性『向上』、ハイブリッド・インフラへの『変革』を進めている。これらを包括的な観点から見れば、アルバネットワークスとの統合はWi-fiの会社を買収してネットワークを拡張するという単純なものではなく、同社が提供するソリューションがワークプレイスの生産性向上につながるため、われわれにとっては非常に重要なものだ」と語った。
続いて、アルバネットワークス シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのドミニク・オー氏が近年の企業ネットワークの概況として「現在は場所を選ばず、かつ、仕事とプライベートの境界がないGENMOBILE(ジェネレーション・モバイル)と呼ばれる時代が台頭しており、企業はサイバーセキュリティに対して懸念を持ち、規制・コンプライアンスが大きな問題になりつつある。こうした企業の課題を解決するにGENMOBILEをサポートする必要があり、多くのユーザーがさまざまなデバイスをいろいろな場所で使えることが重要」と指摘した。
さらに、「ここ数年、われわれは革新的なテクノロジーにより高密度なワイヤレスデバイスの展開を可能にしたほか、ビデオ会議などのマルチメディアのコミュニケーションを実現するとともに高いセキュリティを確保してきた。一方、HPEのネットワーキングも進化し、特にSDNの機能を強化しており、ネットワークインフラがアプリケーションのニーズに応じて変更できるようにしている」と、同氏はGEMOBILE時代において両社が強みを発揮できる状況にあることをアピールした。
そのうえで同氏は、モバイルファースト、クラウドファースト、GENMOBILEのアプリケーションをサポートするために、両社がデータセンターからモバイルアクセスまでアプリケーションを迅速に配信するアドバンテージを4つ備えていると語った。同氏の言う4つのアドバンテージとは以下のとおりだ。
「1つ目は新しいアプリケーションを迅速に展開する『アジャイルデータセンター』、2つ目は単一のアーキテクチャで小規模から大規模なものまでカバーする拡張性を備えるとともに、IDを維持しつつ、いつでもどこでも高密度なマルチメディアの経験を享受できる『デジタルワークプレイス』となる。3つ目はサイバーセキュリティに対する意識・懸念がある時代においてネットワークがデジタルワークプレイスを維持し、高度なセキュリティを担保する『アダプティブトラストセキュリティー』、4つ目はさまざまな公共・商業施設でモバイルネットワークを使用することで集客などを把握し、シンプルなクラウド・マネージド・サービスが図れる『モバイルエンゲージメント』だ」
そして「HPEとアルバネットワークスは、グローバルサービスを顧客に提供するとともに顧客最優先の姿勢を変えず取り組む。次世代のモバイルファースト、クラウドファーストのインフラを構築し、GENMOBILEを日本でサポートしていく」と同氏は胸を張った。
最後に、統合前はアルバネットワークスの日本法人に所属し、現在は日本ヒューレット・パッカード ネットワーク事業統括本部 事業統括本部長を務める田中泰光氏は両社の統合について「買収を発表した当初は不安もあったが、HPEは多くの部門がありながらも横のつながりが緊密だと感じた。これまでアルバネットワークスは無線LANアクセスポイントを販売の中心に置いていたが、統合により有線やデータセンター向けにネットワークの製品群・サービスを提供することが可能になった。また、モビリティを中心に有線と無線を統合した認証・監視管理を統合するアーキテクチャを提供することもできる。今後、スケーラビリティを有したソリューションを日本のユーザーに提供していく」と将来の日本市場での事業展開に期待を寄せた。