ノークリサーチは1月12日、業務システムに関する2016年の中堅・中小企業におけるIT活用の注目ポイントと展望を発表した。今回、卸売/小売/サービス、製造、流通・建設の3つの業種について、コメントをまとめている。
卸売/小売/サービスにおいては、同社の調査から売上や景気への懸念からIT以外を含む投資全般に慎重になっている状況がうかがえ、さらに、2017年4月からの消費税率改正と軽減税率導入はこうした傾向をさらに強める可能性があると指摘されている。
同社は、税額算出方式の変化は卸売/小売/サービス業に限ったことではないが、税率の異なる商材やサービスを取り扱うことになるこれらの業種においては特に大きな影響を及ぼす要素となると分析している。
こうした背景から、消費税率改正に伴う「不可避のIT投資」と売上分析などによる「攻めのIT投資」を明確に切り分け、業績改善につながる販売管理システム提案にも並行して取り組むことが重要と考えられるという。
製造業においては、生産管理システムが持つべき機能や特徴(今後のニーズ)を尋ねたところ、原価管理に関連する項目が多く挙がり、収益性のさらなる改善が重視されていることが明らかになったとしている。
製造業全体で見た場合、注目すべきプラスの要素としてTPP合意に伴う「原産地規則の活用」「繊維ビジョン」食品製造に関連する「地理的表示保護制度」があり、これらはIT活用提案の新たな契機になるという。
中堅・中小の流通業ではトラック運送が比較的多く見られるが、近年はドライバーの高齢化や人手不足が大きな課題となっている。eコマースに伴う配達需要も堅調ではあるが、2016年以降の見通しについては慎重な見方も少なくないとのことだ。こうした中、中堅・中小規模のトラック運送業者が買収されるケースがいくつかあり、中堅・中小企業向けに配車管理システムなどを提案/販売するIT企業はこうした動向も注視しておく必要があるとしている。
建設業については、公共事業の需要は今後も堅調が予想されるが、中堅・中小の工務店は資材価格上昇や人材不足を懸念事項として挙げているという。中堅・中小の建設業向けにITソリューションを提供する側としては、初期投資を抑えつつ何らかの効果が期待できるIT活用提案を練っておくことが重要となってくると、同社は分析している。
そのほか、2016年5月末には改正保険業法が施行され、保険代理店などは顧客の意向を把握した上でのダイレクトメール送付や事業報告書の提出などが求められ、それに関連するIT基盤の整備が必要となるとして、金融・保険も2016年に動向を注視すべき業種として挙げられている。