2013年11月以来火山活動が続く西之島は半年前に比べ、海面上の陸地面積はやや小さくなったものの、体積は増えていることが、国土地理院の計測で明らかになった。
国土地理院は、昨年12月9日に測量用航空機「くにかぜⅢ」により西之島の斜め上空から撮影した写真を8日公開した。この空中写真と正射画像を解析した結果、島の面積は約2.71平方キロメートル(参考値)と分かった。昨年7月28日に無人航空機撮影の写真から解析した時の面積は約2.74平方キロメートル(参考値)だったので、約0.03平方キロメートルわずかながら減少している。
一方、海面上の体積は、約8,801万立方メートル(参考値)で、昨年7月時点の約8,511万立方メートルから約290万立方メートル増えていた。また、最高標高は約142メートル(参考値)と、約8メートル低くなっている。
こうした地形変化について、火山噴火予知連絡会西之島総合観測班班長の中田節也(なかだ せつや)東京大学地震研究所教授は、次のように解説している。
面積の縮小は、海中に流入する溶岩の減少により、波浪による侵食が新たな溶岩による陸地面積の拡大を上回ったため。海面上の体積増加は、溶岩の流出率の低下によって粘性が上がり、溶岩チューブ(表面が固まった溶岩の内側を溶岩が遠方まで流れ、活動停止後にはチューブ状の空洞になる)の中を海岸まで流れるのではなく、地表面だけを流れる結果、溶岩などの厚みが増した。最高標高の低下は、粘性が上がり噴火がより爆発的となり、火口径が拡大したため、と考えられる。
西之島については、海上保安庁も昨年6月から7月にかけて実施した測量船「昭洋」と無人調査艇「マンボウⅡ」による海底地形調査、海底地震観測の結果から、西之島の噴火による噴出物総量は約1.6億立方メートルであることを昨年10月に発表している。この量は、太平洋戦争後では1990~95年に噴火活動が続いた雲仙普賢岳の約2.4億立方メートルに次ぐ大きさで、溶岩が海岸まで達し、死者1人を出した桜島の昭和噴火(1946年)の約1億立方メートルを上回る。
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