MM総研は1月12日、「法人ユーザーにおける携帯電話/スマートデバイスの導入配布状況・ニーズに関する調査」の結果を発表した。従業員数100名以上の大手・中堅企業と学校・医療福祉法人の総務部門503組織を対象にしており、Webアンケートを実施した。調査期間は2015年12月10日~25日。

調査対象となる組織の属性は、業種別で「製造(25%)」「サービス(25%)」「学校・医療福祉(18%)」「流通(10%)」「建設(8%)」「金融(6%)」「通信・IT関連サービス(5%)」「その他(3%)」だった。

スマートフォンの企業導入は再び成長へ?

調査によると、スマートフォンを導入している企業の割合は前年調査の22.4%から4.2%増の27.6%(テスト・部分導入を含めた導入企業は35.6%)だった。前回の調査では、1.3%の増加にとどまっていたことから、「再び高い増加ペースを取り戻した」とMM総研は分析している。

携帯電話自体を配布している企業は全体の25.1%で、そのうちのスマートフォン比率は31%となる。これが3年後の予測では、携帯電話の従業員配布率が30.5%となり、スマートフォン比率も52%と、携帯電話の過半数がスマートフォンに切り替わるという。

法人名義のスマートフォン導入利用状況(出典:MM総研)

法人名義のスマートフォン従業員配布率(出典:MM総研)

タブレット端末の導入はあまり進まず?

一方でタブレット端末の導入企業は23.5%で、本格的に導入・利用している企業の割合が15.3%、テスト・部分導入済みが8.2%だった。ただし、「導入をまだ考えていない」が28.6%、「必要なし」も28.6%と、導入に慎重な姿勢の企業が多く見られ、従業員配布率も現状が2.9%、3年後の従業員配布率予測も6.0%と、スマートフォンと比較して低い数字にとどまる。これは、タブレットの活用シーンが限られることも一因とみられる。

また、「タブレット端末を導入する際のOSは?」という設問では、iOSが42.8%、Windowsが29.3%、Androidが26.5%となった。iOSは前回が37.8%、Windowsが32.4%であったことから、Windowsに対する期待と、Windows 10の実運用が始まった後の揺り戻しがあるのではとMM総研は分析している。

法人名義のタブレット端末の導入利用状況(出典:MM総研)

タブレット端末でどのOSを利用するのか、利用する理由(出典:MM総研)

導入時の問題は「セキュリティ」

スマートフォンの活用をさらに進めていくとする企業が多い一方で、導入拡大への障壁は何か? 障壁の理由として多くの企業が挙げていたのは「セキュリティへの不安」で、回答の上位3つを占めた。不正アクセスによる情報漏えいへの不安が1位で51.7%、ウイルス感染への不安が41.6%で2位、端末紛失による情報漏えいが34.9%で3位だった。3位の端末紛失対策や、資産管理などで多く利用されているMDMサービスは、認知が進んでおり、スマートフォンの導入企業で「利用している」と回答した企業は68.2%にのぼった。

スマートフォンの導入拡大へ阻害となっている要因は?(出典:MM総研)

ドコモとKDDIが増加、ソフトバンクやMVNOは低調な数字に

ほかに、携帯キャリアの契約状況では、「MNPを活用してキャリアを変更したか?」という設問で、7.1%がMNPを活用してキャリアを変更、使用しない変更が4.4%、両方を利用しての変更が3.3%と、合計14.8%が携帯キャリアを変更していた。変更前後のキャリア比較では、変更前ではNTTドコモが40.7%、ソフトバンクグループが33.4%、KDDI(au)が22.2%、MVNOが3.7%であったのに対し、変更後はNTTドコモが42.6%、KDDI(au)が31.5%、ソフトバンクグループが24.1%、MVNOが1.9%となっていた。KDDIが10%近く数字を伸ばしているほか、コンシューマー市場では好調が伝えられるMVNOの結果がふるわない点も目につく。

携帯キャリアの変更状況(出典:MM総研)