ネオマーケティングは昨年の11月、「プレゼントキャンペーンに関する調査」を発表したが、この調査では、消費者の実際の応募行動やプレゼントへの希望とキャンペーンを実施する企業との間には、少なからず認識に違いがあることが明らかになった。
たとえば、 消費者がキャンペーンで欲しいと思う金券には、企業がキャンペーンの賞品として利用できることを知らなかったものがたくさんあった。
そこで、NTTカードソリューションの方に、この背景と同社が提供している電子ギフトサービスの概要を聞いた。
消費者とプレゼントを提供する企業側の認識の差について、NTTカードソリューション ギフトサービス事業部 マーケティングエンジニア 面谷斗夢氏は、「金券にも、QUOカードのようなカードタイプ、JCBのような紙タイプ、デジタルギフトであるIDタイプのものなどいろいろあります。IDタイプは金券のなかでも比較的最近登場したものなので、あまり知られていない面があると思います。また、企業はこれまで行っていたオペレーションを変更したくないという点や、物品を送っていた場合と比べた消費者の心象を気にしている点もあると思います。デジタルギフトについては、企業もまだ探り探りの面があるのではないでしょうか」と語った。
また、企業にはキャンペーンの効果に対する懸念もあるという。
「企業さんはKPIを決めてキャンペーンを行うと思うのですが、企業の中にはすでにこのくらいの商品ではこれくらいの応募が来ていたという指標があるので、それを電子マネーに変更した場合どうなるのかというのは、チャレンジングな面があると思います」(面谷氏)
NTTカードソリューションが提供するEJOICA(イージョイカ)セレクトギフトは、nanaco、楽天Edy、出光キャッシュプリカ、Amazonギフト券など、提携企業が発行する電子マネーをギフトとして贈ることができるサービスだ。さらに、昨年の10月からは「EJOICAセレクトギフトplus」という新たなサービスを開始している。
EJOICAセレクトギフトは、利用者が交換する電子ギフトを選択できるサービスだが、交換できるギフトが流通系・交通系の電子マネー等に限定されていた。「EJOICAセレクトギフトplus」では、これらに加え、「図書カード」「クオ・カード」「JCBギフトカード」などのリアルギフト券が追加されている。
電子マネーギフトの利用としては、キャンペーンと企業独自ポイントを交換するポイント交換が2大用途で、ほかにアンケートに対する謝礼などがあるという。
ギフトID自体はカードに記載して送っても、メールや画面表示で伝えてもOKだ。受け取った側は専用の登録サイトに行き、ギフトIDとnanacoなどのカード番号を入力すればチャージされる仕組みだ。もちろん、IDによってはECサイトで直接入力して利用できるものもある。
EJOICAセレクトギフトのメリットについて面谷氏は、「物品の場合在庫した中から送るという作業となるので、多くの人の手に触れる機会があり、その分リスクも高いのですが、ギフトIDであれば物品在庫を持つ必要もなく、一人の担当が一気通貫で作業できるので、セキュリティ面では優れていると思います」と説明した。
また、もっとも大きなメリットは宅配便を利用しなくてもいいので、梱包作業や伝票を書く手間がなくなるという点だ。
このように、メールやWEBで送付するデジタルギフトのほうが物品よりも企業側の作業が軽減され、メリットも大きいはずだが、企業はなぜデジタルギフトの利用を躊躇するのだろうか?
これについて面谷氏は、「ケースバイケースだとは思うのですが、企業の中にはプレゼント送付をアウトソースしているところもあり、これまで通りのほうが簡単だということがあると思います。また、上司の承認を得る際、上司の方がデジタルギフトについてそれほど詳しくなく、決裁をとりづらい面もあると思います。そのほか、数百名に送る場合などは、メール配信ASPなどが必要になる点もハードルを上げている要因だと思います」と説明する。
そこで同社では、「ID送付オプション」という追加オプションも提供する。
ID送付オプションはギフト発送を代行するもので、メールによる送信、ショートメールによる送信のほか、「ギフトIDオンデマンドサービス」というAPIを利用する方法がある。
「ギフトIDオンデマンドサービス」は、会員ページを持っている企業が、NTTカードソリューションが提供する貸し金庫のようなところからIDを払い出すサービスで、ポイント交換を行っている企業には人気だという。また、このサービスでは、大量に買ったギフトIDの在庫状況を管理することもできるという。
面谷氏は今後について、「IDオプションを充実させ、ソリューションとして提供するなど、いろいろな商材を準備していきたいと思います」と述べた上で、「EJOICAセレクトギフトは、ネット集客に利用するのであれば非常に親和性が高いと思います。また、物品を利用する場合に比べさまざまなメリットがあるので、企業のみなさんには、電子ギフトの利用をぜひ検討していただきたいと思います」と語った。