IDC Japanは1月12日、国内企業におけるDevOpsに関するユーザー調査結果を発表した。DevOpsは開発(Development)と運用(Operations)を組み合わせた用語で、開発担当者と運用担当者が連携して協力し、ビジネスの要求に対して、アプリケーションの開発や導入を迅速かつ柔軟に行う概念。

国内企業におけるDevOpsの採用状況 資料: IDC Japan

DevOpsの採用状況について調査した結果、DevOpsを採用している企業は6.6%、2年以内に採用する計画がある企業は5.0%、時期は明確ではないが採用する計画がある企業は6.6%となった。現状ではDevOpsの採用に取り組んでいる企業はまだ少ない状況が明らかになった。

一方、DevOpsを採用する予定はない企業が32.6%、DevOpsを知らないという企業が38.6%となり、約70%の企業はDevOpsに対する関心がないという結果だった。この背景には、DevOpsの必要性や効果があまり理解されていないことがあると同社は分析している。

DevOpsを採用している企業に対して、採用するに至った背景を聞いたところ、「IT部門で開発や運用にかかる工数を減らすことが求められた」が58.8%と最も多い回答となり、開発と運用の工数削減要求がDevOpsの採用を強く促したという結果となった。さらに「品質の高いアプリケーションが強く求められた」が38.2%で続いており、アプリケーションの品質向上も大きく影響していることがうかがえる。

また、DevOpsを採用する計画がある企業については、「モバイルデバイスとモバイルアプリケーションの利用増加に対応する必要があった」がDevOpsの採用を計画する背景として最も多い回答となった。IDCは、リリースサイクルの早いモバイルアプリケーションへの対応が必要となり、今後DevOpsへ取り組む企業が増加していく可能性は高いと見ている。

DevOpsを採用している企業に対して採用する上で課題になって点を聞いたところ、「投資効果が見えにくかった」が38.2%と最も多い回答だった。この結果から、IDCはDevOpsの成果、特にどのくらいビジネスに貢献しているかを具体的な数値で評価することが難しく、投資対効果がはっきりしないという課題を残しているとコメントしている。さらに2番目に多かった回答として、「DevOpsを進める共通のプラットフォームがない」が挙がった。この結果から、DevOpsを推進するためには、開発からテスト、運用まで一連のDevOpsプロセスを実行する共通したプラットフォームの構築も大きな課題となることが明らかになった。

IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は「現状ではDevOpsに対する取り組みや認知は少ないが、今後、モバイルファーストやクラウドファーストに向けたアプリケーション開発要求の増加がDevOpsを促進していくと考えられる。DevOps実現に向けて企業はまず始めに、オープンソースソフトウェアやクラウドサービスを有効に活用してコストを抑えたDevOpsプラットフォームを構築し、試行錯誤を繰り返しながら自社にとって最適なDevOpsプロセスを見つけていくことが重要である」と述べている。