2015年度における国内民間企業のIT市場規模(ハードウェア、ソフトウェア、サービスを含む)は前年度比2.8%増の11兆6350億円となり、2016年度は同1.1%増の11兆7630億円、2017年度は同0.6%減の11兆6900億円となる見込みだ。矢野経済研究所が12月21日に発表した「国内企業のIT投資に関する調査結果2015」による。
同調査は、2015年8月~10月に、国内民間企業および公的団体・機関546件を対象に、郵送によるアンケート調査を実施したものとなる。
2014年度の同市場の規模は、前年度比3.6%増の11兆3180億円だったという。2016年度までは、同社が実施した法人アンケート調査における回答企業が比較的明るい見通しを見せており、また大手ITベンダーの決算が順調に推移していることなどを受けて、同市場は微増ながら拡大していくと同社は予測する。
2017年度については、金融業を中心とした基幹システムなどの更新・開発案件が一巡すること、また2017年4月の消費税再増税などがマイナスに影響すると同社は見ており、前年度比で若干ながら減少すると予測している。なお、海外に目を向けると中国経済の不透明な先行きなど世界経済に大きな影響を及ぼす要因もあるため、将来動向については注視する必要があると同社は指摘している。
今後3年間におけるIT投資の目的(複数回答)について過去の調査時における回答比率を比べると、「情報セキュリティの強化」「システム基盤全体の効率化」「社内コミュニケーションの強化」「営業の強化」「財務会計業務の効率化」が上位5項目に挙がっており、とりわけ「情報セキュリティの強化」に対する回答比率が2012年調査時以降、年々上昇傾向にあるという。
昨今の企業や団体からの個人情報の漏洩問題などを受け、個人情報の管理・運用体制は対処すべき最重要の課題となっているとした上で、こうした背景が各企業や団体における情報セキュリティ対策への投資行動として表れているものと同社は見ている。