Googleが12月17日に発表した「2015年の旅行業界の検索動向」によると、世界で検索された日本関連のキーワードでは食関連が最も多く、年成長率では観光が最も大きく伸びた。地名検索では東京が最多だったが、「爆買い」の影響で銀座が急上昇している。

全世界での日本関連の検索動向

世界における日本関連の検索は増加傾向にあり、特に観光(インバウンド)関連は成長率30%で伸びているという。同時期の、世界旅行検索の成長率11%と比較しても訪日関連の伸びは高く、旅行の目的地として日本人気が高まっていることが伺えるとしている。なお、2015年1月1日から11月30日における日本関連の全世界での英語での検索語句をファッション・食・日用品・コンテンツ・観光の5カテゴリーに分類したところ、食が最多で、以下ファッション、観光と続く。同時期の年成長率では観光が最も大きかったという。

同時期の日本の地名検索では東京が最多で、以下、銀座、広島、大阪、京都の順だった。2014年と比較すると、中華圏旅行者の「爆買い」で話題になった銀座が年成長率217% で急上昇しているとのこと。福島は震災後の原発問題の影響で上昇しており、2014年度よりも順位は落としたが、引き続き上位にランク入りしている。

観光地・イベントに限定すると、富士山、東京ディズニーランド、東京タワーが上位に名を連ね、東京スカイツリーも4位に入っている。年成長率を見るとユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が93%と高い伸びを示しており、京都の嵐山も102%と伸びている。

訪日関連で対前年成長率が高い語句の分類

インバウンドで急上昇した検索語句を分類すると、宿泊関連の検索が約半数を占めると共に、東京以外の検索が8割近くに上るという。特に大阪関連は全体の3割を占めているとのことだ。

国内旅行の検索数の推移

日本国内の旅行関連の検索は年成長率11%で増加しているといい、2014年と同様にモバイルからの検索が増えているという。なお、直近2年間のモバイル検索の成長率は20%とのこと。

2015年の旅行検索のピークは、春の大型連休(ゴールデン・ウィーク)と夏休みに加え、秋の大型連休(シルバー・ウィーク)にも存在したことが特長だったとしている。2015年は例年よりも日の並びが良く、長めの休みを取りやすかったことが理由だと同社は推測する。

観光地別の旅行ニーズを見ると、海外旅行は対前年比6%、国内旅行は14%で成長しているとのこと。2015年は旅行業界の売上傾向(観光庁「旅行業者取扱額」による)と同様に海外旅行の増加は穏やかだった一方で、国内旅行の伸びが高いことが特長だったという。 観光地のランキングを見ると、国内観光地では東京ディズニーランド/東京ディズニーリゾートが1位であり、以下USJ、沖縄が続いている。

海外の観光地では、1位が台湾、2位がハワイ、3位が韓国だった。観光地により検索の増減に差が出ており、タイやベトナム、香港といったアジアの一部の検索は増加する一方で、欧州方面を中心に検索の減少が見られるという。

国際情勢など外部環境が主な要因で海外旅行が年間を通じて停滞する一方で、国内旅行の充実を求める声が高まりつつあると同社は指摘する。2016年度も引き続き、温泉などの国内資源、ローカル体験、民泊、長期滞在/ステイケーション(近場のホテルなどでゆったりと過ごすといった新しい休暇のあり方)へのニーズが高まると見ており、これらのニーズの変化をいち早く捉えてマーケティングや商品造成に生かして試行錯誤を繰り返せるか否かが、多様化する旅行業界でますます重要になると、同社は予測している。