日本ユニシスは12月15日、島根県松江市でメッシュ型地域通信ネットワーク(NerveNet)の実証実験を開始すると発表した。市役所外からのイントラネットへの安全なアクセスと、自治体間の安全な情報連携の実証実験を通じて、行政サービスの向上や地方創生を目指す。

松江市の実証実験用アプリケーションのイメージ(市役所外からのイントラネットへの安全なアクセス)

NerveNetは、情報通信研究機構(NICT)が開発したメッシュ型地域通信ネットワークで、携帯電話や固定電話と異なり、各基地局のサーバに情報を持ち、かつ基地局同士が網の目のようにメッシュで接続される。また、自動経路生成機能を持つため、回線が切断されても分散配置された別のサーバからサービス提供を継続でき、地域通信ネットワークの耐災害性を向上させる。

松江市は、プログラミング言語「Ruby」による産業振興に力を入れており、Rubyを使って開発したグループウェア「縁sys(えにしす)」を用いて市職員間の情報共有を行っている。

しかし、セキュリティ上、市役所外とのやりとりは主にメールに限られているため、大容量ファイルを簡単に受け渡しすることができず、市職員が外出先や出先からのイントラネットへのアクセスが制限されているという課題があった。

今回、NerveNetのセキュリティ機能と縁sysが持つ情報共有機能を組み合わせて、外部からのイントラネット上の縁sysへアクセスすることで、NerveNetにより既存の情報セキュリティポリシーを変更することなく、必要な情報へアクセスが行えるようになる。

今年度は、実証実験専用の縁sysサーバとサンプルデータを用いて、利用者の使い勝手や管理者の運用方法を確認するとともに、脆弱性検査を行い情報セキュリティの機能を検証する計画だ。

あわせて、自治体間の安全な情報連携の検証として、すでに実証実験に協力している長野県塩尻市と松江市のNerveNetを接続し、セキュリティポリシーを変更することなく、地域間の安全な情報連携を検証する。一例として、松江市の観光や歴史に関する情報を、NerveNetの情報連携アプリを通じて配信し、塩尻市に設置したデジタルサイネージ(電子看板)に表示する。

日本ユニシスは、今回の実証実験によって、NerveNetと通信キャリア回線や既存のインターネット回線との連携や組み合わせにおいて、利用者の使い勝手や情報セキュリティの面からの安全を確認する。また、松江市の出先機関や企業局との地域内イントラネット構築に向けて準備・設計を行い、同実証実験に続く次年度のアプリケーション検証も予定している。

今後、2016年以降に自治体や企業がNerveNetを活用したアプリケーションやプラットフォームを実用化することを目指すとしている。

松江市-塩尻市の連携実証実験アプリケーションのイメージ(自治体間の安全な情報連携)

自治体間の情報連携のデジタルサイネージの表示イメージ(画面イメージ)