京都大学は12月14日、セロトニン受容体1A遺伝子(HTR1A)の遺伝子型によってサラブレッド馬の扱いやすさに違いがあることがわかったと発表した。
同成果は、同大学 文学研究科 堀裕亮 博士、藤田和生 教授および野生動物研究センター 村山美穂 教授らの研究グループによるもので、11月19日付の英科学誌「Animal Genetics」速報版に掲載された。
今回の研究は、JRA 日高育成牧場で2011年~2013年に飼育され、乗り馴らしを受けたサラブレッド1歳馬167頭を対象に行われた。研究では「新しい物体・ヒトへの不安」、「新しい環境への慣れにくさ」、「大きな物体への恐怖」、「反抗的な態度」、「体を触られることへの不安」といった5つのカテゴリーの17項目について、3名の牧場職員が評定・得点化。また、これらの馬から血液を採取し、DNAを抽出してHTR1Aのタンパク質をコードする領域の配列を調べた。
この結果、標的となった領域のうち、709番目の塩基に一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism:SNP)があり、709番目の塩基がグアニン(G)の場合とアデニン(A)の場合の2種類の対立遺伝子があることがわかった。これについて、扱いやすさとの関連を分析したところ、Aの対立遺伝子をもつ個体はもたない個体に比べて、扱いにくいことがわかった。またこの効果はオスよりもメスでより顕著に見られたという。
同研究グループによると、同研究の再現性が確かめられれば、遺伝子型から個体の性質を予測し、それに合わせた飼育管理方法の開発や、乗馬・セラピーホースなどとしての適性の評価などにも応用が期待されるとしている。