日立製作所と日立金属は12月11日、配線幅、配線間隔がそれぞれ2µmと微細な配線層を形成した低温同時焼成セラミック(Low Temperature Co-fired Ceramic:LTCC)パッケージ基板を開発したと発表した。
データ処理能力の向上を目的とした技術のひとつに、有機パッケージ基板上に、幅数µmの配線を数1000本引いたシリコンインターポーザを搭載する方法がある。しかし、シリコンインターポーザの作成にはシリコンに穴を開け、薄く削るというコストのかかる工程が必要であるうえ、その薄いシリコンインターポーザを有機パッケージ基板に実装する必要があるなど信頼性やコストに課題があった。
今回両社は、LTCCに着目し、その上に微細配線層を形成するLTCCパッケージ基板を開発。同LTCCパッケージ基板は基板上に微細な配線を直接形成するため、シリコンインターポーザが不要となるとともに、実装の工程を1回減らすことができ、低コストを実現する。またLTCCの熱膨張係数は有機基板に比べLSIやメモリに近い値をとるため、はんだ付け工程時に発生する熱膨張による基板の変形が小さく、信頼性を向上することが可能。さらにLTCCは材料の性質上、シリコンより配線の厚みをもたせることができるため、損失を小さくすることができる。
同LTCCパッケージ基板上にLSIとメモリを搭載してその間を1000本以上の配線で接続することにより、現状のパッケージ基板と比較し、10倍を超えるデータ処理能力を実現することが可能となる。また、現在開発が進められている有機パッケージ基板上にシリコンインターポーザを搭載したものと比較し、高信頼かつ低コストなパッケージ基板を実現できるという。
なお同成果は、12月14日に韓国・ソウルで開催される「2015 IEEE Electrical Design of Advanced Packaging & Systems (EDAPS) Symposium」にて発表される予定。