アクセンチュア 執行役員 デジタル コンサルティング本部 統括本部長 立花良範氏

アクセンチュアは12月10日、日本におけるオープンイノベーションの中核を目指す組織として、オープンイノベーションを生み出す幅広い活動を集約させた新組織「アクセンチュア・オープンイノベーション・イニシアチブ」を設立したと発表した。

執行役員 デジタル コンサルティング本部 統括本部長 立花良範氏が、新組織を立ち上げた理由について説明した。

立花氏は、「デジタル化の進展により、あらゆる企業において、技術力を競う戦いと新たな顧客体験を追及する戦いが置き始めている。また、事業モデルもモノを売ることから、モノとサービスを合わせた成果を提供することにシフトしつつある。そうしたなか、イノベーションが求められており、協業のあり方も変わらなければならない。これからは、大企業、スタートアップ、政府自治体がエコシステムを組成し、対等な協業を実現することが必要となってきている。われわれは、これらの橋渡しをする存在になることを目指している」と語った。

アクセンチュアがイノベーションにおいて果たす役割

同社の調査によると、企業の協業、イノベーション、収益成長率には相関性があることがわかっているという。すべての企業が、協業の度合いの高い企業と同程度の協業を実施すると、全世界で1.5兆ドルの成長機会があるとしている。

オープンイノベーション・イニシアチブは具体的に、「カタリスト・ユニット」「サーチライト・ユニット」「ソーシャル・シフト・ユニット」の3つのユニットから構成される。

「カタリスト・ユニット」は大企業を対象にイノベーション組織の立ち上げ、新規事業創出を支援する。「サーチライト・ユニット」はスタートアップを対象に事業のスケールアップを支援する。「ソーシャル・シフト・ユニット」は自治体や住民とつながりながら社会課題を解決するエコシステムの構築を支援する。

オープンイノベーション・イニシアチブの概要

@オープンイノベーション・イニシアチブのチーム構成

「カタリスト・ユニット」の概要

「サーチライト・ユニット」の概要

「ソーシャル・シフト・ユニット」の概要

立花氏は、オープンイノベーション・イニシアチブの特徴として「スタートアップ、大企業、政府・自治体がすべて顧客であること」「グローバルでリソースを有していること」などを挙げた。

オープンイノベーション・イニシアチブの取り組みはグローバルで展開されているが、他国ではカタリスト・ユニットとサーチライト・ユニットが前面に押し出されていることから、課題先進国である日本では「ソーシャル・シフト・ユニット」に力を入れて行きたいという。

ソーシャルシフト・ユニットの最近の事例に、12月2日に発表された横浜市との協業がある。両者は、具体的に「健康医療、介護と子育て(ダブルケア)支援」「青少年に対する科学(技術)への興味・関心を広めること」「困難を抱える子供・若者支援」に取り組む。

同社としては、先進国でありながら、超高齢化と少子化が進むことで、多くの課題が生まれている「課題先進国」である日本からサステナブルなビジネスを世界に向けて発信することを目指しているという。