野村総合研究所(NRI)が12月2日に発表した推計によると、今後10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業は人工知能やロボットなどで代替が可能だという。
同試算は、同社未来創発センターが英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士と共同で、「“2030年"から日本を考える、“今"から2030年の日本に備える。」をテーマに行っている研究活動の1つ。人口減少に伴い、労働力の減少が予測される日本において人工知能やロボットなどを利用して労働力を補完した場合の社会的影響に関する研究をしているという。
同試算では、労働政策研究・研修機構が2012年に公表した「職務構造に関する研究」で分類している、日本国内の601の職業に関する定量分析データを用いて、オズボーン准教授がアメリカおよびイギリスを対象に実施した分析と同様の手法で行い、その結果をNRIがまとめたとのこと。これによると、日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能やロボットなどで代替できるようになる可能性が高いと推計したという。
一方、芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業や、他者との協調、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能などでの代替は難しい傾向があるという。
しかし、必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業は、人工知能などで代替できる可能性が高い傾向が確認できたとしている。
同社は今回発表した推計に関し、2016年1月12日に東京において、オズボーン准教授及び東京大学の松尾豊准教授を招聘し、研究報告講演会を開催する予定だ。