アクセンチュアは11月30日、世界各国における企業の意思決定者約400名に対する調査をもとに作成された「Digital Transformation in the Age of the Customer(顧客中心主義のデジタル変革)」調査レポートを発表した。
本レポートはアクセンチュア・デジタルの構成チームである「アクセンチュア・インタラクティブ」が、Forrester Consultingに委託して作成されたものとなっている。
調査の結果、今後12カ月のビジネスの最優先事項について、「顧客体験価値の向上(21%)」だと答えた企業が最も多く、「収益向上(17%)」「差別化要因の向上(16%)」を上回った。デジタル変革を推進する目的としては、「顧客満足度の向上」「利益率の向上」「商品の市場投入スピードの加速化」という回答が上位3つという結果になった。
企業はデジタルチャネルを通じた顧客接点の強化に注力しており、63%の回答者は「オンラインにおける体験価値向上を計画中」であり、46%は「モバイルを活用したサービスを新規導入または改善していくことを検討中」となった。しかし、「実店舗での購買体験価値を向上させたい」と答えた回答者は39%にとどまっている。
顧客中心主義のデジタル企業になるための3つの課題として、アクセンチュア・インタラクティブは「デジタル変革のビジョンと戦略の策定」「組織としての対応準備」「デジタル化の効果測定」をあげている。
「デジタル変革のビジョンと戦略の策定」については、デジタル変革のビジョンと戦略を策定する責任者が曖昧であることが、デジタル変革を妨げる要因の一つであるとしている。調査結果では、デジタル変革のビジョンと戦略を策定する責任者について、38%の回答者が「最高経営責任者(CEO)」、33%が「最高情報責任者(CIO)」、10%が「最高デジタル責任者(CDO)」、8%が「最高マーケティング責任者(CMO)」が適任だと考えられている。「誰が組織におけるデジタル変革のビジョンと戦略を策定すべきか」との問いに対しては、「CIO(30%)」という回答が最多で、続いて「CEO(27%)」となったが、「CDO」や「CMO」と答えた回答者はそれぞれ17%と8%。
「組織としての対応準備」については、調査における回答者の多くは、デジタル戦略を実行していくうえで、最適な人材を有していないと考えているという。「自社においてデジタル変革の対応準備ができているのはどこか」という質問に対する回答では、「テクノロジー(75%)」と「運用プロセス(75%)」といった回答に比べて、「組織(64%)」という回答が最も少ない結果となった。
「デジタル化の効果測定」については、企業は効果測定に必要なアナリティクスや新たな指標を導入する前に、プロセスやテクノロジーの導入に不安を持つ傾向があるとしている。デジタルビジネスの実現に不可欠なことについて、57%の回答者が「デジタル技術の導入」と回答した一方、「デジタル変革の指標と測定方法の確立」と答えた回答者は29%にとどまった。
本調査では、「顧客の期待に応えている」と答えた回答者は73%に達する一方、「顧客の期待を超えたデジタル体験を提供している」と答えた回答者は5%にとどまっている。