東芝と東芝メディカルシステムズは11月30日、MRI検査装置のボア(検査空間)内に設置したドーム型スクリーンにプロジェクターから映像を投影することで、検査空間を感じさせない広視野・高臨場感映像を表示する技術を開発したと発表した。

同技術は、寝台の位置に応じて動く半透過ドーム型スクリーンをボア内に設置し、磁界の影響がおよばないMRI検査装置の後方に設置したプロジェクターから、スクリーンとボア内カバーに映像を投影し、寝台に設置されたミラーに反射された映像を患者が見るというもの。

ボア内のドーム型スクリーンは、車載用ヘッドアップディスプレイや超高臨場感用頭部搭載型ディスプレイの基盤技術が活かされており、物体の色や形状を処理する中心視野に加えて、空間の奥行や動きを処理する周辺視野に映像刺激を与えることで、視野角60度以上の広視野・高臨場感映像を実現。ミラーに反射された映像は実際のボア内カバーより遠くに映し出されているように感じられるという。

検査前には、ドーム型スクリーンはボア入口に位置して映像を表示しており、トンネル構造が見えないため検査への不安を軽減するほか、検査開始時には、ドーム型スクリーンが寝台と連動してボア内に移動することで、患者は常に一定の映像を見続けることができ、閉所であるボア内へ入り込む感覚を低減するとする。

今後は、患者がボア内で検査していることを忘れてしまうようなリラックスできる空間を提供するために騒音低減技術を融合させ、早期の実用化を目指すとしている。

寝台に設置されたミラーに反射された映像を患者が見ることにより、検査空間を感じさせない映像空間を実現

実際のボア内カバーより遠くに映し出されているように感じられ、広々としたバーチャル空間を得られる