NECは11月30日、ベクトル型スーパーコンピュータ(スパコン)「SX-ACE」を独キール大学、アルフレッドウェゲナー極地海洋研究所、シュツットガルトハイパフォーマンス計算センターに納入し、同スパコンを活用した研究が開始されたと発表した。

「SX-ACE」は、マルチコア型ベクトルCPUを搭載し、CPUコア当たりで世界トップクラスの演算性能(64GFLOPS)およびメモリ帯域(6GB/秒)を実現したベクトル型スーパーコンピュータ。1ラック当たりの性能は前機種と比較して10倍のラック演算性能16TFLOPS、メモリ帯域16TB/秒で、科学技術計算や大規模データの高速処理を得意とし、気象予報、地球環境変動解析、流体解析、ナノテクノロジーや新規素材開発などのシミュレーションにおいて高いアプリケーション性能を有している。また、従来機種と比べて消費電力を10分の1、設置面積を5分の1に低減している。

キール大学が導入した「SX-ACE」256ノード(最大理論性能65.5TFLOPS)は、地球温暖化に伴う海洋気候の変化などのモデル計算に利用され、アルフレッドウェゲナー極地海洋研究所が導入した「SX-ACE」32ノード(最大理論性能8.2TFLOPS)は、カップリング地球システムモデルによる古気候、海氷の生成・消滅、地球規模あるいは地域レベルでの気候変化との相互作用の数値モデリングなどで活用されるという。また、シュツットガルトハイパフォーマンス計算センターの「SX-ACE」64ノード(最大理論性能16.4TFLOPS)は、自動車設計向けの流体シミュレーション、新規素材開発に必要な計算物理モデリングをはじめとする産業応用での活用が期待されている。

「SX-ACE」