EMCジャパンは11月16日、記者会見を開き「データレイク 2.0」戦略の一環としてスケールアウトNAS「EMC Isilon(アイシロン)」においてデータレイクの次世代製品である「IsilonSD Edge(アイシロンエスディーエッジ)」「Isilon OneFS(同ワンエフエス)」「Isilon CloudPools(同クラウドプール)」を発表した。次世代「Isilon」に含まれている新しい製品、機能、能力により、導入企業はリモートオフィスなどのエッジロケーションからクラウドにまで簡単にデータレイクを拡張することが可能となる。3製品ともに発売は2016年第1四半期に予定しており、価格は個別見積。

米国本社エマージングテクノロジー事業部 EMC Isilonプロダクトライン担当シニアバイスプレジデントのフィル・バリンシャー氏

会見では米国本社エマージングテクノロジー事業部EMC Isilonプロダクトライン担当シニアバイスプレジデントのフィル・バリンシャー氏が説明を行い「2014年にシングルリポジトリ、マルチプロトコル、ロケーションの一元化、アナリティクスをコンセプトに『データレイク1.0』を発表した。『データレイク2.0』は1.0においてロケーションの一元化で実現した価値をエッジに広げていくということが大きなコンセプトになっている。今回の新製品はデータレイクに革新的な拡張をもたらすだろう」と語った。

「IsilonSD Edge」の概要

Software-DefinedソリューションのIsilonSD Edgeは、これまで費用、低容量、管理の複雑さ、異なる種類のPC環境の混在、スポット的な統制といった課題が存在していたエッジロケーションでコモディティハードウェアで稼働し「VMware ESX」をサポートするとともに「VMware vCenter」との完全な統合により、管理が容易な環境を提供。

また、同ソリューションはOneFSのオペレーティングシステム(OS)の能力に影響を与えることなく、あらゆるデータサービスとプロトコルをサポートしながら36TBまで拡張が可能で、シームレスにデータレプリケーション(複製)やコアからのリストアを提供する。非本番環境向けに無償提供する予定で、本番環境での利用についてはクラスタごとのライセンス提供となる。

「Isilon OneFS」の概要

次世代OSのIsilon OneFSは管理環境を簡素化し、効率を高め、大規模データレイクの継続的な稼働を実現。OneFSの機能強化の1つが、無停止アップグレード(NDU)のサポートがある。

同製品はマイナーバージョンアップについてはNDUをサポートしてきたが、今回の最新バージョンからメジャーバージョンアップのNDUもサポートを開始したことで、データレイクの柔軟性が強化されている。そのため、大規模アップグレード時におけるユーザーやアプリケーションワークロードのダウンタイムを確実に回避できるようになる。

さらに、同OSは柔軟なソフトウェアアップグレードロールバック機能も提供し、ユーザーは必要に応じてアプリケーションやエンドユーザー環境をアップグレード前の状態に回復させることができる。これらの機能によってインフラストラクチャの管理者はニーズに合わせて細やかに対応し、基幹環境におけるスムーズなユーザーエクスペリエンスと継続的なアップタイムの確保を可能としている。

「Isilon CloudPools」の概要

ソフトウェアアプリケーションのIsilon CloudPoolsはIsilonをパブリッククラウドやプライベートクラウド、ハイブリッドクラウドへ容易に拡張することが可能だ。エンタープライズ環境内にあるデータの大部分はほとんど使われない「コールドデータ」があり、企業はこのようなデータも法定上の要件およびコンプライアンスの目的から維持管理しなければならないという。

同製品により、IsilonをAmazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Virtustreamなどのパブリック クラウドへネイティブに拡張することができるほか、クラウドゲートウェイは必要ない。データセンターを「EMC Elastic Cloud Storage(ECS)」に拡張し、Isilonをプライベートクラウドとして活用することもできることに加え、コアネームスペースをクラウドに拡張し、場所に依存しないデータアクセスを実現。

そのほか、クラウド環境におけるエンタープライズデータのセキュリティ確保のため、クラウドへ階層化したデータは伝送時に暗号化、圧縮されるため、セキュリティが確保されるため企業はデータレイクをクラウド規模の容量に拡張しながら、一貫したデータへのアクセスと管理を簡素化できる。