ヤマハは11月12日、都内で「ヤマハネットワーク製品アップデートセミナー 2015」を開催。今年でネットワーク機器発売から20周年を迎えたことを祝う20周年記念講演やニフティクラウドの事例、新製品・機能アップデートを紹介した。
20周年記念講演は「ヤマハネットワーク製品のこれまでの20年とこれからの20年」と題して、音響開発統括部SN開発部ネットワーク機器グループマネジャーの広瀬良太氏が登壇。同社は1995年以前に通信関連製品としてLSIや「ヤマハフロッピーファクシミリ」などを販売していた。1995年にLAN×1、BRI×1のISDNリモートルーターでヤマハルーター初号機となる「RT100i」を発売し、「Windows 95」の発売を機に家庭においてもパソコンが浸透したことを受け、1998年に家庭向け製品として「RTA50i」を投入した。
同製品はネットボランチを冠する初めての製品で電話機能を統合したほか、GUIを搭載し、NTTのINSテレホーダイやフレッツISDNで利用が拡大した。2002年にはRTXシリーズ初号機の「RTX1000」を発表し、VPNによる拠点間接続をISDNバックアップやハードウェア暗号エンジンとファストパスを搭載。また、併せて同社独自のダイナミックDNSサービスでヤマハルーター間でのVoIP通話を行う「ネットボランチDNSサービス」を開発。
現在は本社やデータセンター向けVPNセンタールーターの「RTX5000」「RTX3500」、支店や店舗など拠点向けには拠点ルーター「RTX1210」「RTX810」、VoIP統合、オールインワンルーター「NVR500」、ファイアウォールの「FWX120」などの幅広い製品が主要ラインアップとなっていることが紹介された。
さらに、同セミナーでは参考出品として2016年春に発売予定の次世代無線LANアクセスポイント「X14(仮)」を紹介。同製品は主にミッドレンジユーザー向けに開発されているもので、インタフェースはLANポートが1ポート、10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T、POE発電(IEEE802.3af準拠)、タグVLAN(IEEE802.1Q)となる。
無線機能は2.4GHz帯でIEEE802.11b/g/n(最大300Mbps)、5GHz帯でIEEE802.11a/n/ac(最大866Mbps)、同時利用可能な内蔵型アンテナ2本(2.4GHz/5GHz共用)、マルチSSIDは合計16個(各8個)、MACアドレスフィルターは1VAP当たり256件。また、管理機能はL2MSスレーブ、無線ラインコントローラーは最大15台、内蔵RADIUSサーバは簡易型(最大200件)、SNMPはv1、SYSLOGは本体に1万エントリーだ。
広瀬氏は「これまで我々は中小企業、中小拠点向けに壊れない、役に立つ機能・製品を提供し、顧客とのコミュニケーションを大切にしてきた。そして、これからも顧客にとって役に立つ存在であり続け、製品ラインアップの充実やネットワーク環境の変化に即応した提案を通じて『賢いネットワーク』の提供を目指していく」と語った。
続いてニフティのクラウド事業部クラウドインフラ部の蓮沼慎太郎氏が登壇し「ニフティクラウドとヤマハルーターで実現するハイブリッドクラウドの世界」をテーマに説明を行った。
同氏はニフティが提案するハイブリッドクラウドについて「顧客のオンプレミス環境とパブリッククラウドをL2VPN・L3VPN接続で容易につながることができる。また、顧客のVMをニフティクラウドでバックアップするDRサービスによりクラウドに簡単に預けられることが可能だ。さらに、専有コンポーネントによりクラウドを拡張できる」と3つの特徴を挙げた。
また、ニフティクラウドのVPNゲートウェイ機能について同氏は「対応プロトコルはIPSec(L3)、L2TPv3/IPsecで、ヤマハのルーターはL2・L3VPN接続の両方に対応しており、ニフティクラウドのVPNゲートウェイ機能と『RTX1200』を接続した結果、LP3VPNで最大580Mbpsのスループットを計測した。また、ヤマハルーターの設定コマンドが顧客の構成に合わせて表示されるため、容易にハイブリッドクラウドの構築も可能だ」と述べ、他社の製品と比較してヤマハルーターの優位性を主張した。
加えて「ニフティのエンジニアの声として「他社ルーターと比べ、低コストで性能も良いため複数拠点の構築などに最適なほか、L2TPv3/IPsecに対応しているため費用対効果が高い。また、ニフティクラウドへの接続方法も掲載している公式ヘルプページが充実している」と同氏はヤマハルーターのメリットを述べた。