D2Cは10月25日、東京大学・伊藤謝恩ホールにて中高生のためのスマートフォンアプリ開発コンテスト「アプリ甲子園2015」を実施した。5回目となる今回は、1000件を超える応募の中から予選を通過した10組がファイナリストとして参加。見事優勝の栄冠に輝いたのは、小学生の作品だった。
アプリ甲子園は、全国の中学・高校・高校専門学校生を対象(小学生以下の応募も可能)としたアプリ開発コンテストで、2011年よりD2Cが開催している。今年はD2C単独ではなく、朝日新聞やセガゲームス、Twitterなどの多くの企業が協賛したイベントとなり、応募作品数も1334作品に達した。その中から一次選考、二次選考を通過した上位10組が、10月25日に実施された決勝戦へと進んだ。
決勝戦は2段階に分けて審査を実施。最初はアプリの「企画力審査」で、参加した10組の学生が自身が開発したアプリのプレゼンテーションを行った。審査員がその内容から、アプリの独創性やデザイン、そして「消費者に支持されるか」を判断して評価した。
その後、審査員は実際のアプリの動作や、ソースコードの内容を確認する「実装力審査」を行った。ここでは、操作性や技術点、完成度などを評価する。この際、参加した学生は会場を訪れた人達に直接アプリを触れてもらい、生の評価を得るという機会も設けられていた。
最終的には、企画力と実装力、双方の審査を合わせた総合得点によって、優勝者が決まる仕組みとなっている。審査員には、デジタルハリウッド大学 学長の杉山 知之氏や、「Snapeee」などのスマートフォンアプリを開発しているマインドパレット代表取締役の神尾 隆昌氏、そしてキャスターの伊藤 聡子氏など6名が就任している。
これら2つの審査による結果、優勝は成蹊小学校6年の中馬 慎之祐さんが開発したiOSアプリ「allergy」となった。allegyは、海外で外食する際、料理に自分のアレルゲンが含まれているかどうかを確認しやすくする、食物アレルギーを持つ人のためのアプリ。母国語とアレルゲン、そして相手の国の言語を選ぶと、アレルゲンを確認するためのメッセージが現地の言葉で表示されるというもの。すでにApp Storeで配信されているという。
このアプリは、中馬さん自身が食物アレルギーを持っており、海外のレストランでアレルゲンを確認するのに苦労したことから作成したという。
審査員の杉山氏は「すでにアプリをリリースしているのが凄い。世界中の人たちに役立つアプリを作り、貢献している」と、allergyを高く評価していた。それを受けて中馬さんは「中高生と並ぶ中で優勝できるのか? というのがあったので、本当に嬉しい。デザインを一緒にやってくれたお父さんお母さんに、『優勝したぞ、ありがとう!』と言いたい」と、喜びを語っていた。
準優勝には、さいたま市立桜木中学校2年の太田史帆さんが開発したiPad向けアプリ「mago-note」が選ばれた。
こちらは授業で取ったノートの内容をまとめるために作られたアプリで、テキストや画像などを好きな位置に貼り付けたり、ノート同士をリンクして見やすくできたりする機能を備える。審査員の神尾氏は「これからの教育やデバイスの使い方など、未来を感じさせる内容が素敵。技術力の高さも評価につながっている」と評価していた。
この他にも、3位は開成高等学校1年の大渕雄生さんが開発した、ユーザーがカスタマイズできるシューティングゲーム「DANMAKER」が、4位には早稲田大学高等学院2年の中山晶平さんが開発した、動画を見たりしながらメモができる「PutOn」、5位には国立米子工業高等専門学校3年の清水大輝さんが開発した、キーワードに関連する情報をメディアから取得してくれる「Streeem」が選ばれている。