東京都・汐留のパナソニック汐留ミュージアムは、ボタニカル・アートの名品や、植物を着想源としたデザイン・工芸品を展示する「キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々」を開催する。会期は2016年1月16日~3月21日(水曜休館)。開館時間は10:00~18:00。入館料は一般1,000円、65歳以上900円、大学生700円、中・高校生500円、小学生以下無料。

セバスチャン・シューデル《マルタゴン・リリー(ユリ科)とクロアザミ(キク科)、他》(「カレンダリウム」より) 17世紀初頭、キュー王立植物園蔵 (c)The Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew

マーガレット・ミーン《ダリア属(キク科)》1790年頃、キュー王立植物園蔵 (c)The Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew

バシリウス・ベスラーの委託による《オオカンユリ(ユリ科)》(「アイヒシュテット庭園植物誌」より) 1613年、キュー王立植物園蔵 (c)The Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew

同展は、キュー王立植物園が収蔵する22万点を超えるボタニカルアートのなかから選りすぐった、黎明期から現代までのボタニカル・アートの名品、さらに植物を着想源としたデザイン・工芸品を含めた約150点を展覧するもの。また、発展に寄与したジョセフ・バンクスやチャールズ・ダーウィンらの研究者、17-19世紀を代表する植物画家たち、ウィリアム・モリスをはじめとするデザイナーなども紹介される。

キュー王立植物園は、自然の景観を活かし、多種多様な美しい草花を巧みに配して変化に富んだ光景をつくり出すイングリッシュ・ガーデン(英国式庭園)。それらの植物の多くはヨーロッパの原産ではなく、大航海時代以来、世界中から集められたものである。探検隊や植物最終家は、観賞用植物の他にさまざまな植物資源も集め、そうした植物は取引されることによってヨーロッパの社会や経済に少なからぬ影響を及ぼした。特に、英国においては、庭園は文化として豊かに発達。世界各地からもたらされた植物は記録と研究のためにさかんに描かれるようになり、科学的探求の成果の芸術的な表現であるボタニカル・アート(植物画)という絵画領域が確立されていった。18世紀半ばに英国王の私的な庭園として始まった同園は、現在、最先端の植物学の研究機関であり、また22万点のボタニカル・アートを収集し世界有数の植物園となった。壮大な庭園は、長きにわたる植物学と造園技術への貢献により2003年にはユネスコ世界遺産(文化遺産)にも登録されている。

会場デザインは、代官山T-SITE(蔦屋書店)や湘南T-SITEなどを手がけた、ロイヤル・カレッジ・オヴ・アート(ロンドン)出身のマーク・ダイサムとアストリッド・クラインが設立した設計事務所、クライン ダイサム アーキテクツが担当。また、会場には、イングリッシュ・ガーデンをイメージした香りにつつまれて鑑賞する空間が設けられている。

また、関連プログラムとして、ボタニカル・アートが王侯・貴族から一般市民までをどのように魅了してきたかが語られる講演会「ボタニカル・アートの魅力」が開催される。開催日時は2016年1月23日13:00~15:00。また、イングリッシュ・ガーデンと花の写真による講演会「イングリッシュ・ガーデンと花のある生活」が開催される。開催日時は2016年2月11日1:30~15:00。いずれの講演会も要予約で、聴講は無料だが同展の観覧券が必要となる。申込方法の詳細は同館Webサイトにて。そのほか、出品作家レイチェル・ペダー=スミスによる同展限定の特製ぬりえが、1月28日、2月28日、3月3日、3月8日の来館者全員にプレゼントされるということだ。