東京工業大学と芝浦工業大学は11月5日、蓮の葉のナノ構造を鋳型に使い、高効率で大面積の「超薄膜光吸収メタマテリアル」の作製に成功したと発表した。

同成果は東京工業大学大学院総合理工学研究科の梶川浩太郎 教授と、修士課程2年の海老原佑亮氏、芝浦工業大学工学部の下条雅幸 教授の研究グループによるもので、11月4日に英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

メタマテリアルとは人工的なナノ構造を使った特異な光学的性質を示す物質で、物質の不可視化や高効率光吸収構造などに利用できる可能性がある。

同研究グループは蓮の葉の表面に直径100nm程度の多数のマカロニ状のナノ構造を発見し、その上に膜厚10~30nmの金を被覆することで照射された光を外に逃さない光メタマテリアル構造を作製することに成功した。このメタマテリアルはすべての可視光領域で反射率が1%以下という光吸収構造となっているという。

これまでメタマテリアルの多くは、微細加工技術を使って作製されていたたが、今回の研究によって、自然界のナノ構造を鋳型とすることで、さまざまな機能を持つ大面積のメタマテリアルを低コストに作製することにつながることが期待される。

(a)蓮の花 (b)葉の表面のミクロ構造

ハスの葉を30nm厚の金で被覆したメタマテリアル。中心部分が光を吸収するため黒い。周囲に固定するための金のテープがはられている。いずれも金が被覆されている。