シーメンスPLMソフトウェア(シーメンスPLM)は10月26日から28日まで米オハイオ州シンシナティで開催している年次イベント「SOLID EDGE University」で新しいモバイルアプリ「Catchbook」を発表した。
Catchbookはタブレットやスマートフォン上で2D図面を作ることできるツール。ユーザーが描いた直線や曲線の補正や図形のサイズ合わせなどを自動で行うほか、描いたオブジェクトの複製・回転などもタッチペン1本で操作することができる。
また、線を消したい場合は、削除したい部分に波線を素早く描く(シーメンスPLMはこれをScribbleと呼ぶ)など、"紙とペン"の使い心地を追求したインターフェースとなっている。
作成したデータはDXFとSVG形式で出力できるため、Solid Edgeをはじめとする他のCADへ流用することなどが可能。アプリ自体は無料で提供するが、一部の機能はアプリ内で購入する必要がある。今秋にはベータテストを実施する予定で、シーメンスPLMは2016年の早い段階で正式にリリースしたいとしている。iOS、Android、Windowsに対応し、英語版をはじめとする16カ国語で公開されるという。
使いやすさや手軽さが重視されていることからわかるように、Catchbookは「ちょっとものづくりに興味がある」人たちに向けて開発されており、これまでプロフェッショナル向けのソリューション一本でやってきたシーメンスPLMらしくない製品といえる。同社は「正確な図面を作成することができるため、DIYからエンジニアや建築家まで、さまざまな人にとってメリットがある」とコメントしているが、実際の設計プロセスの中でどれだけ実用的かは未知数だ。
デモではMicrosoft Surfaceを使用してサクサクとオブジェクトを描いていたが、より小さなディスプレイや専用のタッチペンがない場合(指で線を描く場合)でも同じような使用感が実現しているのかは微妙なところ。広いターゲット層に普及するかどうかはその辺りがカギとなるだろう。