米航空宇宙局(NASA)は米東部時間28日午前、土星の衛星「エンセラダス」の南極付近表面から噴出する氷の噴煙の中に無人探査機カッシーニを突入させることに成功し、探査を始めた。

表面が氷で覆われたエンセラダスからの噴煙は氷やちりでできていると考えられている。NASAが29日公表した資料によると、今回の探査は、噴煙内に突入して成分を詳しく調べ、氷の下の環境がどれほど生命活動に適しているかを突き止めるのが目的。カッシーニは今回、高度50キロの位置で氷の噴煙の中に突入した後上空を周回しながら探査を続ける。NASA研究者は地上に送られたデータを詳しく解析し、有機物がないかなど、噴煙の詳しい成分を調べる。

エンセラダスは、直径が約500キロの球形で、太陽光のほとんどを反射して明るく輝く土星の「月」。南極は厚さ30∼40キロの厚い氷の層で覆われている。その層の下には広大な海があり、氷層の割れ目から氷の塊を数百キロの高さまで噴き上げていることがこれまでの探査で明らかになった。中心部には岩石のような核となる部分もある、とみられている。また、海の底には、地球の海底と同じように高温の熱水が噴き出している可能性があり、生命の痕跡が存在する可能性への期待が高まっている。

カッシーニは、高さ約7メートル、幅約4メートル、重さ約6トン。 NASAのほか欧州宇宙機関(ESA)、イタリア宇宙局が共同で開発製造。1997年に米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。地球や金星、木星の重力を利用して加速する航法(スイングバイ)を使って長い宇宙の旅を続けた。2004年に土星に到達し、周回軌道に入って観測してきた。この間、土星最大の衛星タイタンにミニ探査機を着陸させ、タイタンが地球のように雨や川、湖、海を持つ世界であること、土星のリングは活発に活動していること、エンセラダスに水が存在することなどを続々と明らかにし、惑星科学の発展に貢献してきた。

図.土星の衛星エンセラダスの断面想像図。南極付近から氷の噴煙が噴出しいている。カッシーニはこの噴煙に突入した。地表面はカッシーニが撮影した画像を基に作製(画像提供NASA/JPL-Caltech)

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