シーメンスPLMソフトウェア(シーメンスPLM)は10月26~28日の期間、米オハイオ州シンシナティで年次イベント「SOLID EDGE University 2015」を開催している。同イベントの基調講演では、ローバー型ロボットなどを手掛けるRoss RoboticsのPhilip Norman氏が登壇した。
Norman氏のキャリアは少し特殊だ。同氏はもともと建築をはじめとする芸術分野を主戦場としていて、機械設計の知識は持っていなかった。子供のおもちゃの部品をよりシンプルにするアイデアを検討していた時にSolid Edgeに出会い、そこで得た知見を活かすためにRoss Roboticsを立ち上げてロボット産業に参入したという。
そうした背景から、同氏はさまざまなものからインスピレーションを受けると語る。例えば、Ross Roboticsのローバー型ロボットのタイヤはたくさんの脚が生えたような形状をしているが、これはゴキブリのようにさまざまな場所を難なく移動するためにはどうすれば良いのかということを考えた結果だ。ほかにも、波打ち際の砂の上に描かれる模様や、1800年代の日本のアート作品からもインスピレーションを受けているとする。
Norman氏が生み出すRoss Roboticsのロボットはシンプルな機構を組み合わせてシステムを構成している点が特徴。これにより高いロバスト性を実現しているだけでなく、製造コストを抑えることができる。また、モジュールの組み合わせを変えることで、ユーザーのニーズに応じたカスタマイズも可能だ。
同社のロボットは現在、欧州原子核研究機構(CERN)などで導入されており、主に人間が立ち入ることが難しい場所で活用されている。
今後はロボットをプラットフォーム化し、さまざまなサプライヤーがアームやカメラなどのパーツを供給できるようなビジネスモデルを展開していく予定で、Norman氏は「今は世界中を旅してニーズを掘り起こしている。今後はメーカーとしてロボットを提供するのではなく、ソリューションを提供していくことになるだろう」とコメントした。