東芝は10月28日、半導体事業におけるシステムLSI事業ならびにディスクリート半導体事業の構造改革の方針を決定したと発表した。
システムLSI事業は、注力領域の明確化の固定費削減を目的にCMOSイメージセンサ事業からの撤退を決定。併せて既報の通り、大分工場の300mmウェハ製造ラインとその関連資産ならびにCMOSイメージセンサ事業をソニーに譲渡する方向で協議を進めていくとする。同社のCMOSイメージセンサ事業の売り上げは2014年度で約300億円で、同事業の設計などに関わる社員については、ソニーへの譲渡完了に伴い、ソニーグループに移籍することで調整を進めていくとしている。
また、これに併せてシステムLSI事業については、市場の成長が見込まれ、技術優位性が高い分野に経営資源を集中していくとするほか、200mmおよび150mmウェハ製造ラインの効率運営に向け、大分工場を岩手東芝エレクトロニクスに統合する形で新会社を発足させる計画。新会社では、アナログ半導体製品を中心にファウンドリ事業も行うことで、製造ラインの稼働率改善を図るとしている。この新会社は2016年4月1日をめどに発足させる計画だとしている。
一方のディスクリート半導体事業については、収益力改善および市場競争力強化を目的に、2015年度末までに白色LED事業を終息させる。同社では、これにより市場拡大が見込まれるパワー半導体事業、光デバイス事業、小信号デバイス事業を注力領域と位置づけ、事業全体の早期黒字化を目指すとする。
なお同社では、こうした構造改革に伴い、システムLSI事業、ディスクリート半導体事業およびセミコンダクター&ストレージ社の営業・スタッフ部門を対象に、セミコンダクター&ストレージ社内での再配置および再就職支援を含む早期退職優遇制度を実施するとしており、こうした施策を進めることで、固定費を2016年度に2014年度比でシステムLSI事業で約160億円、ディスクリート半導体事業で約100億円削減させ、両事業の黒字化を目指すとしている。