2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、東京の都心部ではいくつもの大規模な再開発プロジェクトが進められている。そこで本稿では、街ごとの再開発プロジェクトを追いながら「ポスト・東京オリンピック」の東京の姿をのぞいてみたい。
来年11月オープンの銀座の新しい顔はエリア最大の大規模複合施設
第2回目となる今回は、都市としてのブランド・歴史・文化において国内随一の存在感を誇る街、銀座を取り上げたい。
現在、銀座で進められている再開発事業の中でもひときわ目立つのが、「銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業」だろう。このプロジェクトでは、「松坂屋銀座店」跡地を含む街区(銀座六丁目10番)ならびに隣接する街区(銀座六丁目11番)の2つの街区で構成された約1.4ヘクタールを一体的に整備。東京を代表する国際的な商業・業務・観光拠点を目指して、銀座エリア最大級の大規模複合施設を来年・2016年11月にオープンする予定だ。
新たに誕生する施設は、地上13階地下6階・高さ約56m・延床面積約14万7900平方メートルで、売場面積約4万6000平方メートルの商業施設、基準階の1フロア貸室面積約6100平方メートルの大規模なオフィス、そして文化・交流施設「観世能楽堂」などから構成される。商業施設の計画および運営・管理は、大丸と松坂屋ホールディングスの共同持株会社であるJ.フロント リテイリングと森ビル、L Real Estate、住友商事が一体となって進めていくとしている。
建築デザインは、世界的な建築家である谷口吉生氏が意匠統括。また内装デザインのうち商業施設空間のデザインは、数多くのラグジュアリーブランドブティックのデザインワークを手がけるグエナエル・ニコラ氏が担当するなど、銀座の新たな顔にふさわしい、ハイクオリティな商業空間の創出が目指されている。
また、このエリア最大級となる広さを誇る屋上庭園や、観光バスなどの乗降スペースも設置される計画で、銀座を訪れる多くの買い物客や観光客らが足を向けやすい空間となりそうだ。
数寄屋橋にも来年に大規模商業施設が出現
銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業と双璧をなす銀座エリアの一大再開発事業が、「(仮称)銀座5丁目プロジェクト」である。こちらは有楽町から銀座への玄関口に当たる数寄屋橋交差点角に、やはり来年・2016年春に開業を予定している大型商業施設の開発プロジェクトだ。
「Creative Japan~世界は、ここから、おもしろくなる。~」をコンセプトに掲げ、旧銀座位東芝ビルの跡地・敷地面積約3766平方メートルに東急不動産が建設中の施設は、完成すると地上11階地下5階・延床面積約5万平方メートルとなる。コンセプトは「光の器」で、建物の外観デザインは、伝統工芸の「江戸切子」をモチーフとしているという。
出店予定のテナントは約120店舗で、このうち路面および中上層階に出店する核テナントは、今年9月に発表された。
施設の路面部分には、歴史と伝統のあるラグジュアリーブランドの世界的旗艦店や、世界中から最高のアイテムを提案するセレクトショップが出店。中層階には、東急百貨店のノウハウを凝縮した新業態となる約600坪の大型セレクトストアが出店する。
6階・屋上部分には、施設のシンボルとなるパブリックスペースを設置。 6階には数寄屋橋交差点を一望できるアトリウム、屋上にはオープンエアーの大テラス空間が設けられる。
また、10・11階の飲食ゾーンには約20店舗のレストランが出店。日本初となるモダンギリシャレストランや、東京初となる京都の老舗料亭による割烹などが出店を予定している。
今回紹介したいずれの再開発プロジェクトも、人々に長い間親しまれてきた商業施設の跡地を利用している点が印象的だ。歴史を大事にしつつも、時代の変化とともに少しずつ顔を変えていく銀座にふさわしいプロジェクトだと言えるだろう。来年末、銀座どのような姿に変身するのか楽しみにしたい。