NECは10月20日、OpenStackを活用したクラウド基盤の構築と運用を支援するソリューション「NEC Cloud System(OSS構築モデル)」の販売を開始した。
NEC C&Cクラウド基盤戦略本部の上坂利文氏は同ソリューションの開発に至った背景について「これまでグローバルのクラウド基盤やNFV基盤で10社近くの顧客からRFP(提案依頼書)やRFI(情報提供依頼書)を受け、提案を行ってきたが、顧客の要件共通項を抽出したところ2000項目程度の項目があった。その中でOpenStack単独で実現可能な要件分析機能は30%、残り70%はOpenStack単独では実現できないため、我々としては2つの取り組みを進めてきた。OpenStackの改造と、そのほかのOSSとSIで連携させることだ」
同ソリューションの主な特長として、クラウド基盤の中核機能には、OpenStackのkiloをベースにした拡張性を備え、IaaS基盤である「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 7」を採用したほか、基盤の管理、監視、制御機能にもOSSを採用。これらを連携させることで、通信事業者のNFV基盤や通信・データセンター事業者のクラウドサービス基盤、企業の情報システムの基盤へも適用可能な信頼性と拡張性を有したオープンなクラウド基盤の提供を実現。
また、ユーザー個別のニーズに対応した機能をコミュニティへ還元することで、機能のオープン化を促進。具体的には脅威が増している外部ネットワークからの不正アクセスへの対策を行う仮想ファイアウォールや仮想IPS/IDSなどの仮想アプライアンスと連携することで、統合管理する機能をコミュニティに提案していく。
これによりユーザーシステムのオープン性を維持し、柔軟なハードウェア選択によるコストの最適化を支援。2016年春にはSDN技術の採用により拠点を跨ったデータセンター(DC)を1つの仮想DCとして利用するための管理機能の提供も予定している。拡張性を向上させることで、BC(事業継続)/DR(災害復旧)の仕組みとしての活用も可能になる。
さらに、クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」やユーザーのクラウド環境の構築実績を基に、必要な要件や機能を標準モデル化し、事前に組み合わせ検証を実施しており、ユーザーの要件、規模に応じて機能を選択し、柔軟に組み合わせることで個別に構築する場合と比べて構築期間を最大50%短縮することが可能だ。
加えて、仮想サーバの払い出しやネットワーク設定など運用管理者の日常作業を自動化する機能や運用プロセスの標準化に向けた運用ガイドの提供により、運用の効率化とサービス品質向上を支援する。そのほか、新たにOpenStack対応の専門部隊を設置し、非機能要件(可用性、性能、運用性、拡張性など)の視点で評価し、システム構築やサポート時に迅速な問題解決や回避方法を提供。
これにより、ユーザーへの万全なサポートを提供するとともに、修正部分をコミュニティへ還元することで、OpenStackの品質強化に貢献。これらの専門部隊に加えて、開発/SEを含めた1000名体制でOpenStackを活用したオープンなクラウド基盤の提案から設計、構築、運用、サポートまで顧客をトータルに支援していく。なお、価格は「OSSクラウド基盤構築支援サービス(設計、構築、評価)」、「OSSクラウド基盤サポートサービス(Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 7、ほかOSSを含む基盤ソフトの技術問合せ、障害解析、回避策の提示、ディストリビュータと連携した顧客システムの問題解決支援)」のいずれも個別見積ながら、販売目標は3年間で600億円を計画している。