ポジティブ思考がもてはやされるなか、「ネガティブ思考から抜け出せない」「ポジティブ思考の楽観主義についていけない」と思って肩身の狭い思いをしている人に朗報だ。
Incの記事「ネガティヴ思考のパワー(原題:The Surprising Power of Negative Thinking)」によると、実のところ、ポジティブ思考は必ずしも成功に寄与するものではないという。何でもポジティブにとらえるだけではダメ、ということだろうか。
ネガティブ思考はモチベーション高し?
昨今、「信じればかなう」といったポジティブで明るい考え方が人気だが、楽観論だけではうまくいかない。
記事では、ニューヨーク大学の心理学教授、Gabriele Oettingen氏の研究によるとポジティブ思考は成功の逆風になりかねないことを紹介している。
なぜなら、ポジティブ思考はわれわれをリラックスモードにさせるため、やるべきことをなかなか達成できないからだ。そして、何かをやり遂げるという点では、ネガティブ思考の人のほうがモチベーションが高いという。
以下に、ネガティブ思考の人の強さを具体的に見てみよう。
- 目の前の課題にフォーカスする
ネガティブ思考の人は、将来の障害や課題を考え、それを克服するための具体的な方法を考えることが多い。
「何とかなるさ」と根拠のない楽観主義では、戦略的な計画が立てられず、障害や課題を乗り越えることができない。
つまり、ポジティブ思考ですべてを解決とはいかない時があるのだ。このように、一般的にネガティブ思考の人は困難に直面した時に強いようだ。
- 2歩先を行っている
問題を解決する、課題や障害を認識できる力は、将来起こるであろうトラブルを見越す能力にもつながっている。
ネガティブ思考の人は、万が一トラブルに遭遇しても、ある程度予想していたことなので慌てずに対処することだろう。
- 過信しない
ネガティブ思考は心配性とも言える。
「うまくいかないかもしれない」「常にうまくいくとは限らない」と油断していないので、常にバックアップを用意しているし、先回りして代案をいくつか考えている。
周囲からは「心配しすぎ」と言われても、このような姿勢は顧客や提携企業からは「信頼」との評価につながることだろう。
- ネガティブ思考は悲観主義ではない
ポジティブ思考は楽観主義そのものだが、その反対のネガティブ思考は楽観主義の対義語である悲観主義、とはならないという。
これは、問題の認識と同時にチャンスを感知することもできるからだそうだ。物事をごまかしたり先延ばしにしたりしがちな楽観主義者よりも、ネガティブ思考の人は今、何が起こっているのか、何が問題なのかを知ろうとしている。
かといって、ポジティブ思考の良さも無視できない。ポジティブ思考の良い意味での楽観と前向きさ、それにネガティブ思考の真面目さや疑い深さを組み合わせることができれば、最強のチームになりそうだ。