カスペルスキーは10月13日、個人向け総合セキュリティソフト「カスペルスキー 2016 マルチプラットフォームセキュリティ」を発表した。
同製品では、ユーザーのサイト閲覧履歴の追跡を止める「Webトラッキング防止」機能を搭載するなど、プライバシー保護を強化。システム変更コントロール機能では、ユーザーが意図しないブラウザ設定の変更が行われることを防ぐため、設定変更を監視する。ほかにも、Mac版ではこれまで対応していなかった「ネット決済保護」機能や、Android向けには、子供がデバイスを使う際に有害サイトへのアクセスブロックを行う「保護者による管理」機能も用意した。
価格は、1年1台版が3980円(税込)、1年5台版が4980円、1年で同一世帯の端末10台までインストールできる「1年プレミアライセンス」が6980円などとなっている。
セキュリティソフトは「重くない」
「1年間に検知された脅威の数をご存知ですか?」と新製品発表に登壇したカスペルスキー 代表取締役社長の川合 林太郎氏は初めに記者に質問を投げかけた。
カスペルスキーが昨年1年間で検知した脅威の数は、61億6723万3068件にのぼるという。これは、同社による検出数のため、実数はさらに大きな数字になる。データ量で言えば6.17PB(ペタバイト)に達し、「テラ(バイト)ですらない」と、川合氏も驚きを隠さない。
こうした攻撃は、当然Web経由で行われており、オンライン上の攻撃数は14億3266万467件、ユニークホスト数も976万6119件と膨大な数字になる。こうした攻撃は「自分には関係ない」と思われがちだが、同社によると攻撃を受けているPCは全体の38%になるという。
「今年の脅威の数も、警察庁の発表などでは減っているとしていたが、Q1、Q2の半期集計で、昨年比18.5%伸びている」(川合氏)
こうした状況で、セキュリティソフトの必要性は依然として高いものとしており、日本人がネットにおける脅威を不安に感じている調査を引き合いに出した。ただ、不安に思う一方で、「セキュリティソフトは重い、高い」という意識から導入していないユーザーも多いという。
「重いと思われがちだが、第三者機関で、カスペルスキーだけでなく、日本で著名な他社ソフトも含めて、Webサイトの閲覧やファイルダウンロード、ファイルのコピーやプログラムのインストールなど、通常のユーザーアクティビティに対する負荷を計測したもので『遅くない』と認定されている。ソフトウェアがやっていることは多岐にわたっており、ブラウザの起動、閲覧サイトが怪しいサイトに接続していないかというチェック、読み込みの際に認証、スクリプトなど、様々なチェックを行っている。これらを皆さんが自分でできるかというと難しいと思う。こうしてセキュリティを守っている。
また、カスペルスキーには3000人が在籍、セキュリティリサーチャーを含む1000人が研究開発に従事しており、日々、年中、全世界のオンライン上の脅威を検知している。パッケージ版3年契約の製品の価格を日数(3年)で割るとカスペルスキーの時給は11.8円程度にしかならない。この時給でユーザーさんを守るのはなかなか大変だ(苦笑)。様々な攻撃キャンペーンを検出しているカスペルスキーですし、ぜひ、ご理解いただければと思います」(川合氏)