米Dellは10月12日(現地時間)、投資ファンドのMSD PartnersやSilver Lakeと共に米EMCを買収することで基本合意したと発表した。グローバルサーバ市場でHewlett-Packard(HP)に次ぐシェアを持つDellと、ストレージ最大手のEMCの合併によって、エンタープライズIT市場でIBMやHPと肩を並べる勢力が誕生する。なお、EMC傘下のVMwareは引き続き独立した公開企業として運営される。
合意案によると、EMCの株主には1株あたり24.05ドルの現金が支払われ、EMCの子会社であるVMwareを対象とした連動株式が発行される。VMwareの10月7日のVWAP(Volume Weighted Average Price)をベースにすると買収総額は約670億ドル(1株あたり33.15ドル)。買収手続きはEMC株主の承認を必要としており、順調に進めば2016年5月から10月の間に完了する見通し。実現すると、現時点でIT産業最大の企業買収になる。
DellのCEOであるMichael Dell氏は、ITで動きのある分野に関われるようにDellは継続的に企業の形を変えてきたと指摘、EMCの買収は今日の進化を加速するものであると述べた。両社は協力して、Software-Definedデータセンター、ハイブリッドクラウド、コンバージドインフラストラクチャ、モバイル、セキュリティなど、今日のデジタル変革におけるイノベーションをリードする存在を目指す。合併は両社のITインフラを押し付けるものではなく、オープンに、これまでパートナーと共に築いてきたエコシステムとの相乗効果を図る。例えばCiscoとのVCEを引き続きサポートするなど、既存のパートナーシップに基づいた顧客への幅広い選択肢の提供を継続するという。
DellによるEMC買収に関しては、EMC株主の承認を得るためにEMCがDell以外の提携先を探すことができる“go-shop”条項が契約に含まれていると報じられたが、実際に盛り込まれたかは明らかになっていない。報道によると、最大のライバルになるHPは数年にわたってEMCと合併交渉を進めていたものの、昨年秋にHPが分社化計画を発表する前に交渉を打ち切った。