ノークリサーチは10月8日、同社が実施した、中堅・中小企業でのIT関連用語に対して持つ印象や認知に関する調査結果を公表した。
本調査は、日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業で「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」か「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」社員を対象として、2015年7月に調査したもの。有効回答件数は1300社。
IT活用は常に進歩し、新しい技術やソリューションが次々と登場している。それらをユーザー企業に伝える際には新しいIT関連用語が用いられることも多いが、用語の認知が非常に低かったり、ユーザー企業にとって印象の良くないものだったとすると、逆効果となる恐れがあるとし、ユーザー企業が主要なIT関連用語をどれくらい認知しており、どのような印象を持っているのかを知ることは今後の提案活動において非常に重要となるという考えから、同社はさまざまなIT関連用語の認知度や印象を質問、その結果を年商別/業種別/所在地別などといった複数の観点から集計した。
これによると、「企業の業務システムにおいて一般消費者(コンシューマ)向けの製品/サービスを利用すること」を意味する、「コンシューマライゼーション」という言葉は、半数近くにのぼる41.5%が「全く知らない」と回答していることから、「一般消費者向けのわかりやすいユーザーインターフェースを用いている」という主旨を訴求したい場合にはこの用語のみに頼らずに、具体的な説明を付加しておくことが重要となると同社は述べている。
次に、「IT活用によって従来の慣習(場所、時間、連絡手段など)に束縛されない業務の進め方を創出しようとする取り組み」を指す「ワークスタイル改革」という言葉については、最近注目を集めている用語だが、実際には以前から用いられてきたにも関わらず「全く知らない」28.1%という結果だった。ユーザー企業は何らかの具体的なIT商材と紐づける形で用語を認知することが少なくないため、指し示すIT商材が限定されるほかの用語と比べて、該当するIT活用分野が広いこの用語はユーザー企業に記憶されにくくなると考えられるという。また、この用語には、少子高齢化による労働人口減少などの社会的背景もあることを踏まえて、「自社の製品/サービスがユーザー企業に求められる変化をどのように支援できるのか?」を具体的に示すことが重要となると、同社では考察している。
「企業が何らかの業務またはその一部を不特定多数から公募した個人に対して単発的に委託すること」を示す「クラウドソーシング」は、比較的新しい用語ではあるが、「全く知らない」の回答は15.9%とやや低い。さらに、「コスト削減に寄与するIT活用分野と捉えている」の回答割合が31.2%にも達していることから、中堅・中小企業において「個人に委託することで得られるコストメリット」への期待感が存在すると考えられるとしている。
ただし、実際に中堅・中小企業と対話する中ではクラウドソーシングでの「クラウド=crowd」とクラウドコンピューティングの「クラウド=cloud」を混同しているケースも散見され、この用語を正しく認知している実際の割合はもう少し低い可能性があると、同社は見解を述べた。