東京都・渋谷のBunkamura Box Galleryは、人生という旅の中で心に浮かんでくる情景を、抽象の木版画に刻んできた版画家の展覧会「爲金義勝新作版画展 2015」を開催する。会期は11月10日~11月18日。開館時間は10:00~19:30(11月18日は17:00まで)。入場無料。

「空の記憶」2015年 木版・コラグラフ 44×31cm

「夏のノートよりⅣ(旅)」2014年 木版・コラグラフ 44×31cm

「ノスタルジア」木版・コラグラフ 44×31cm

同展は、約30年間、形のない感情や人生において大切なものに向き合い、それを金箔や鮮やかな色彩を使った明快なカタチにして独自の存在感のある作風を作り上げてきた、爲金義勝の新作版画を中心に旧作も展示販売するもの。

爲金氏の版画作品にみられる独特のマチエールは、木版画とコラグラフを掛け合わせることで完成されている。コラグラフとは、版に色々な素材を貼りつける事で木版画自体に物質的な立体感を出したり、様々なテクスチャーを画面に載せることで、そのイメージの奥行を表現する事が出来る技法で、伝統的な木版画特有の静謐感とコラグラフによるモダンな素材感とを掛け合わせた抽象的な作品となっている。また、爲金氏は、自身の創作活動に対し「希望や未来は目に見えません。光にも風にも愛にも音楽にも形がありません。人を元気づけ、生きていく勇気を与えるそれらのものに、形を与えるのが私の仕事です」と語っている。

なお、爲金義勝(ためかね よしかつ)は1959年兵庫県西宮市生まれ。関西学院大学商学部卒業。創形美術学校研究科版画課程修了。在学中、堀井英男に師事した。1991年から1994年までパリに滞在し、2003年より1年間、文化庁在外研修員として、 アメリカ・ペンシルヴェニア大学美術学部大学院にて研修。 国内外の数々の個展・展覧会に作品を出品し、現在、日本版画協会会員、日本美術家連盟会員となっている。