クラウディアンは10月9日、同社が開発提供する広域分散ストレージ製品である「CLOUDIAN HyperStore」を、大阪大学が主幹するDESTCloud(Disaster Emulation Simulation Testbed for distributed systems such as Cloud computing environment)プロジェクトが評価および検証する商用製品に選択したと発表した。

同製品は、日本で生まれグローバル市場に展開しているというソフトウェア・デファインドのオブジェクト・ストレージ製品。汎用的なx86サーバとLinux OSを使うことで、大量の非構造化データの格納に最適な経済性の高い分散ストレージを構築できるという。汎用サーバ2台(推奨3台)からスモールスタートし数PB(ペタバイト)超級にまでスケールアウト可能とのこと。複数データセンター間で同期・準同期を選択しファイル単位での複製を行うため、秒単位でのDR(災害復旧)/BC(事業継続)対策が可能になるとしている。

クラウドストレージの事実上の標準というS3 APIに準拠しており、数百種類の対応アプリケーションなどを改修せず、そのまま利用できるという。ニフティやNTTコミュニケーションズ、NTT東日本を始め、国内外のサービス・プロバイダーと企業が採用している。

DESTCloudプロジェクトの11拠点

同プロジェクトは、2014~2015年度総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)からの支援を受けており、評価・検証は2015年10月から2016年3月までの期間において、日米大学など11拠点のデータセンターをネットワークで相互接続し、広域分散システムの耐災害性・耐障害性を評価するもの。

拠点は、大阪大学、金沢大学、京都大学、高知工科大学、国立情報学研究所、東北大学、奈良先端科学技術大学院大学、広島大学、札幌DC、沖縄DC、カリフォルニア州立大学サンディエゴ校の11カ所。

CLOUDIAN HyperStoreによる同期のイメージ

広域分散システムとして評価の対象となったCLOUDIAN HyperStoreは、複数データセンターに自動的にデータを分散・複製し保存する機能を備えているという。複数データセンター間のデータの整合性を常に保つ同期複製と、数秒後に同期する準同期複製を選択利用可能とのこと。そのため、平均的に1日に数回程度バックアップ用データセンターにデータを複製し保護する従来のITシステムによる災害復旧対策と比べ、災害復旧目標を秒単位にまで短縮できるとしている。

なお、同検証を主幹する大阪大学情報推進本部・サイバーメディアセンター助教(兼任)博士(情報科学)の柏崎礼生氏は、「災害回復や事業継続計画に関する実践的な対策が数多くありますが、広域分散という視点を我々も重視しています。商用製品で広域分散に対応するクラウディアンには、高い開発力と重厚なサポート体制が確立されていることを期待しています。プロダクトだけでなく開発・サポート体制も含め、検証していきたいと考えております」とのコメントを寄せている。